【中高年のテクニカルへの道】雪上でスキーは上達しない!? 合格の鍵はオフトレです

スキー・スノーボード・雑記

【中高年のテクニカルへの道】第5弾です。

中高年のテクニカルへの道もいよいよ最終回です。
この投稿だけを読むと、「ふ~ん」で終わってしまうので、本気で合格したい方、初めから読んでいただければと思います。

【中高年のテクニカルへの道】

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雪上で上達しない理由

以前の投稿で書いた上達のプロセスを、もう一度載せます。

上達のプロセス

スキーに限らず、スポーツの練習は上手な人をまねることから始まります。
先生やインストラクター、あるいは先輩が見本を見せて、その動きを説明し、それを生徒がまねをします。
中学校・高校のクラブ活動、大学のサークルなどがそうですが、上手い人がいると他の人のレベルも上がっていきます。
そこに、よい指導者がいれば、上達のスピードが早まります。

しかし、だんだんと歳を重ねていくと、なぜか見よう見まねが出来なくなり、ひとつひとつの動きを理解しないと、まねができなくなります。
不思議です。

そして、より歳を重ね40代、50代になってくると、自分でも気が付かない問題が発生します。
体が硬くなり、柔軟性が重要だと思うかもしれません。
もちろん柔軟性も重要ですが、それよりも深刻な問題が起こっています。
それは、長年同じ動きをしてきたことで、現在の動きを変えることができなくなってしまっていることです。
自分にとっては、今の動きが自然なので、スキーを上達するうえで非効率的な動きをしていることすら気がついていない人がほとんどです。
気が付けば矯正することもできますが、気が付かないと直そうとも思いません。
また、一度ついたクセを矯正することは、ゼロから上達することにくらべ、何倍も時間がかかります。
これらのことが、中高年がなかなか上達をしない原因だと思います。

雪上で上達しない理由

上達のプロセスを読んで、歳を重ねると雪上では上達しない理由が分かっていただけたでしょうか。
スポーツは上手い人のまねをすることで上達していきます。
若い人は頭も体も柔軟性が有るので、見たことを再現できます。
しかし、中高年は、柔軟性が足りないだけならばまだ良いのですが、場合によっては悪いクセが体にしみ込んでいます。
そのような方は、ほぼ間違いなく、静止した状態でも思うように体を動かすことができず、ましてや滑りながら正しい動きをできるはずがありません。
すなわち、いくら雪上で滑ってもクセが強固になるだけで、上達とは逆の方向に進んでしまいます。

上達の第一歩は、この点を認識することです。
そうは言っても、滑らないと楽しくない、という人がいます。
そのことは全く否定しません。
趣味なので楽しければOKです。
ただ、テクニカル合格を目指すことと矛盾しているので、どちらかを選んだ方が気が楽になると思います。

 

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オフトレ

雪上での上達が難しい理由が分かっていただけたのであれば、どこで上達するかということになります。
そう、上達は陸上でしかできないのです。
正確に言うと、雪上での練習よりも、より多くの時間を陸上でのオフトレに傾けるべきだと考えます。
では、どのようなオフトレを行えばよいのでしょうか。

筋トレ

オフトレと言うと真っ先に思い浮かべるのが筋トレだと思います。
もちろん、筋トレも重要なのですが、テクニカル合格のことだけを考えるとそこまで重要ではなく、年相応の筋力があれば十分です。
この話をすると、コブで筋力が必要だと言う人がいますが、それは違います。
検定4種目の中でコブは最も筋力を使いません。
なぜ、そんなことを言いきれるかと言うと、怪我の影響で筋力の劣る私が一番初めて滑れるようになったのがコブだからです。
そして、滑れるようになるまでに最も時間がかかった、すなわち最も筋力が必要だったのが大回りです。

詳しく知りたい方へ
脱力できるとスキーが上手くなる? コブを滑るのに筋力は不要!
コブで必要な筋力 はこちら

ポジション・動き

先ほども書きましたが、静止した状態で出来ないことは、滑りながら出来るわけがありません。
また、板を着けると、前傾過多になっても後傾になっても転ぶことがないので、板を着けない、あるいはブーツを履かない状態でバランス感覚を高めることが重要です。

サラリーマンである私の練習法は、平日は自宅で課題としている動きの反復練習を行い、週末ゲレンデで確かめ、課題をクリアできれば次の課題を見つけて、また平日に自宅で練習をするというサイクルでした。
不思議なもので、自宅で課題となる動きがスムーズにできるようになると、ゲレンデで1本目から思った通りの滑りができます。

ここで一番難しいことは反復練習をすることではなく、課題を見つけることです。
もう少し正確に言うと、「出来ていないこと=課題」を見つけることはそこまで難しくないのですが、その課題の改善方法(体のどの筋肉をどういうタイミングでどのように動かすか)を見つけることが大変難しい問題です。
筋肉の動かし方は他人の動きをみても分からず、また他人に教えることが大変困難です。
なので、試行錯誤を繰り返し、自分で解答を見つける必要があります。
そして、やっと反復練習が可能となるのです。

 

練習方法

課題は人それぞれなので、練習すべき動きは千差万別です。
その中で、多くの人に効果があり、自宅ででき、かつ劇的に滑走レベルを上げることができる練習をいくつかご紹介します。

前後のポジション

正しい前後のポジションを習得する前段階として、まずは自分が足の裏のどこに荷重しているか、瞬時にわかる必要があります。
手のひらにボールペンの先を当てれば、誰しもどの部分に当たっているか分かると思います。
それと同じように、足裏のどこに荷重をしているか、常に感じ続ける必要があります。
そして、その感覚を拡張し、スキー板のどの部分に圧力がかかっている(雪面抵抗を受けている)かを感じれるようになってください。

ひとつの練習方法は、裸足でゆっくりと足裏に意識を集中して歩くことです。
そうすると、だんだんと足裏のどこに荷重しているか、感じることが出来るようになると思います。
同時に、荷重ポイントの移動の仕方を練習すると効率がいいと思ます。

歩き方を詳しく知りたい方へ
オフトレで内倒対策。歩き方でスキーの滑りが変わる? はこちら

上下のポジション

スキーの上下動は、筋トレのハーフスクワットと同じような動きに見えて大きく異なります。
ハーフスクワッドでは、伸び上がる時に筋力を使いますが、スキーでは小さくなる時に雪面抵抗に耐える力が発生します。
また、ハーフスクワッドでは足首・膝・股関節を使い前後のバランスをとりますが、スキーでは足首の角度は固定で、膝と股関節の調整で前後のバランスをとります。
陸上でスキーと同じような筋力の使い方を再現することは難しいので、この点には目をつむり、上下動を行ったときにどのように足裏の荷重点が動くかを確認するために、足首を固定して(膝の位置が動かないようにして)、ハーフスクワットを行ってください。
足を縮める(吸収動作をする)時に後傾になる人が多く、そのような人は特に小回りやコブを苦手にしています。
おすすめの練習方法は、バランスボードの上でハーフスクワッドを行うことです。
始めは相当難しいと思いますが、この動きが出来るようになると、特にコブの滑りが激変します。

オフトレの必需品、おすすめ バランスボード/バランスディスク はこちら

左右のポジション

左右のポジションを鍛えるうえで、スタート地点は、片足で立つことが出来るかどうかです。

転倒予防に必要な筋力トレーニングに「開眼片足立ち」というものがあります。
目を開けたまま両手を楽にして、立った状態で片足をcmほどあげた姿勢を維持するだけのテストで、平均は、20代で70秒、30代で55秒、40代では40秒、50代では30秒、60代は20秒となっています。

しかし、科学的なデータがあるわけではないのですが、高度なバランス感覚が要求されるスキーにおいて、上記数字では短すぎ、個人的には5~10分はできた方が良いのではなかと思っています。
そして、床の上で出来るようなれば、次にバランスボード上で片足立ちをしてみてください。
インナーマッスルが鍛えられ、高度なバランス感覚が得られると思います。

何もせずに片足立ちをするのは辛いので、私は気を紛らわせるためにyoutubeを見ながら行っていました。

ひねり

スキーにおいて、ひねる関節は脇腹(背骨)と股関節があり、股関節の方が圧倒的に大きな捻りを生みます。
股関節の捻り動作、片足づつ行うのであれば誰でも簡単にできますが、同調して行うことは、よほど練習をした人でないとできません。
両足を同調して捻ることができないとローテーションとなり、外足に力が伝わりづらくなります。
小回りやコブが不得意な人はほぼ間違いなく、このひねりができていません。

具体的には、動画(52~58秒)で紹介されている動きになります。
始めて行う人は、ほぼ間違いなく腰も前後に動くことでしょう。
ひとりで行うと、股関節と同時に腰が動くことに気が付かないので、鏡を見ながら、あるいはビデオを撮りながら練習してください。
ビデオのように出来る人はまずおらず、できるようになるまで数年かかるかもしれません。
簡単に出来るようになったと勘違いをせず、必ずビデオ撮影などをしてチェックを行ってください。

ストックワーク

ストックワークは、特にコブで個性がでます。
ほとんどの方が、ストックを突くたびに肘や手首の位置が下がり、体が遅れる原因を作っています。
ストックワークは滑りながら矯正することはまずできません。
唯一、矯正できるのは陸上での練習のみで、矯正まで数年を要することもあります。
正しいストックワークを習得すると見栄えが良くなるだけではなく、滑りも安定します。

ストックワークの練習 はこちら

 

最後に

某有名デモンストレーターの「上手くなるということはシンプルになること」という言葉が心に強く残っています。
ひとつひとつの動きの無駄をそぎ落としていくと、スムーズにターンが繋がるようになり、効率的に板に自重を伝えることができるようになります。
新しい技術を身につけるようにするのではなく、今行っている動きを洗練させていくことが、上達への近道ではないでしょうか。

みなさんのテクニカル合格を応援しています。

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