毎シーズン繰り返される、ゲレンデでのスノーボード流し問題。
昨シーズン、ゲレンデで流れてきたスノーボードを止めることがありました。
そのことをX(旧twitter)でポストしたところ13万インプレッションを越える大きな反響があり、この問題を改めて考えてみました。
昨日、ゲレンデを流れて来るボードを止めました。
ごく緩い斜面だったので止めましたが、斜度が10度あったら逃げていたと思います。
上を見ると、若い子がゲレンデ脇を、焦るでもなくゆっくりと歩いていました。板を着けている時ではなく、脱いだ時にリーシュコードを必須にできないものでしょうか。
— スキー凸凹研究所 (@skibumpslabo) February 13, 2024
問題点
ゲレンデ内でスノーボードを流すことは、言うまでもなく大問題となります。
スノーボードは面積が広いので安定性があり、一旦流れ出すとどんどん加速して何かに当たるか、ゲレンデの外に飛び出すまで止まることはありません。
その現場を見た方も多いかと思いますが、 3~4 kg の刃(エッジ)が付いたスノーボードは凶器以外の何物でもなく、人に当たれば大怪我を負わす可能性が有ります。
また、途中で止めようとしても、手を出すと怪我をすることもあるので、破損することを覚悟して自分の板を挿し込みスピードを落とし、そして止めるぐらいしか方法がありません。
運動量(衝撃)
質点の運動量は、質点の速度に比例する。
スノーボード
スノーボード(4kg)が時速10km(2.78m/s)で斜面を滑り降りているとすると運動量は次のようになります。
4 kg x 2.78 m/s = 11.12 kg⋅m/s
硬式野球ボール
プロ野球の試合で使われる硬式野球ボールの規格は次の通りです。
- 外周:229mm~235mm
- 重量:141.7g~148.8g
投手が時速150km(41.67m/s)の球を投げた場合の運動量は次のようになります。
0.145 kg x 41.67 m/s = 6.04 kg⋅m/s
比べてみてもらえば一目瞭然ですが、スノーボードの方が倍近い運動量を持っています。
加えて、鋭利な刃(エッジ)が付いているので、どれだけ危険なものかお分かりいただけると思います。
原因
スノーボードを流す原因は単純で、斜度があるゲレンデでソールを下にして手を放すからです。
具体的には、次のような状況が考えられます。
- リフトにスノーボードを持って乗車し、ゲレンデの上でスノーボードにブーツを装着する時
- ゲレンデ内で写真撮影などのためにスノーボードを置いた場所に傾斜があった時
- 初心者が滑ることができない斜面に差し掛かり、ゲレンデの中腹でスノーボードを脱いだ時
- ゲレンデの中腹、レストランなどで休憩する時に立てかけていた板が風などで倒れた時
解決策
現状
一般的には、リーシュコードを着けるように言われています。
しかし、ブーツをビンディングに固定した後にリーシュコードを脚に装着する人が多く、どのような状況で役に立つのか正直分かりません。
なので、SNS内でもリーシュコード不要派がでてきます。
オリンピアン提案
リーシュコード論争に、で2006年トリノオリンピック・スノーボードハーフパイプ日本代表の成田童夢さんも参戦。
リーシュコードを腰に巻いたり、肩にかけたり、ビンディングから両足を外した後も、安全に持ち運べる方法を検証しています。
ショルダーコード検証(*`・ω・´)
長さを調整すれば全く問題なさそうなのと、キッカーとかで難易度の高い技を仕掛けなければ普通に滑走する事ができ、ツリーランは若干不安があったものの埋まってしまった場合にも直ぐにボードの発掘が可能かなと( ˊᵕˋ*)… pic.twitter.com/SGkZux8lfU
— 成田童夢 DOME NARITA (@narita_dome) February 3, 2024
提案
Xユーザーの聖ん(@hiji1ing)さん、ウェア一体型のリーシュコードという素晴らしいアイディアをいただきました。
この方法であれば、常に体と板がリーシュコードで結ばれているので板を流すことがなく、かつ板を持ち運ぶ時もスムーズです。
ポストはこちら
(掲載の許可をいただいています)
最後に
毎年怪我人がでているスノーボードの板流し、啓蒙活動だけの対策では不十分だと思います。
スノーボード人口を増やすためにも、安全性を高めるために、業界の方が率先して対策を検討する時期に来ているのではないでしょうか。
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