これからどうなる? 売却された「星野リゾート・トマム」

スキー場 国内

2024年7月1日、星野リゾート トマムが売却されたというニュースがかけめぐりました。
誤解している人も多いので、状況を整理してみました。

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スキー場の所有者と運営者

スキー場の運営形態は2種類ありあります。

スキー場所有者が運営

バブル期に、西武、東武などの鉄道事業を行う事業者など、多くの企業がスキー場の開発を手掛け、イメージ的にはスキー場所有者が運営を行うことが一般的と思われていますが、実は少数派です。

スキー場所有者が、運営を委託

全国のスキー場の半数以上は、スキー場の土地所有者が他の事業者に運営を委託しています。
スキー場の所有者が地方自治体の場合は、運営者(指定管理者)を入札で決めます。
また、近年はアセットライト経営(保有資産を少なくし、財務改善を行うこと)を行うため、西武ホールディングスなどは、スキー場を売却し、運営のみを行うようになってきました。

今後の展望、西武ホールディングス(プリンスホテル)のスキー場 はこちら

 

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星野リゾート トマム

1983年に占冠村(しむかっぷむら)の第三セクターにより営業を開始したトマムは、何度も所有者が変わっています。

現在、スキー場を所有している株式会社星野リゾート・トマム(星野リゾートは別会社)は、復星国際傘下で日本での投資を行う株式会社イデラ キャピタルマネジメントの子(孫)会社でした。
星野リゾート・トマムの求人は株式会社星野リゾートホールディングスが行っているので、資本関係があるようにも思えるのですが、過去の報道では復星国際傘下の企業が星野リゾート・トマムの全株式を取得とあり、詳細は分かりません。
また、星野リゾートが運営に関わっていることは間違いないのですが、どのような契約で運営を行っているのか、探すことができませんでした。

沿革

1998年、株式会社アルファ・コーポレーションが自己破産し、施設は占冠村が買収して加森観光に無償貸与
2003年、関兵精麦株式会社が民事再生法を申請
2004年、星野リゾートなどが関兵精麦所有分の施設を買収して運営開始(1)
2015年、復星国際傘下の上海豫園旅游商城が、株式会社星野リゾート・トマムの全株式を183億円で取得(2)
2017年1月23日、占冠村が平成20年1月10日付で星野リゾート・トマムと合意し実行がされていなかった、トマム内の占冠村所有資産の買取に関する民事調停申立の調停が成立(3)
2024年6月28日、復星国際は、中国の不動産不況に対応し、非戦略・非中核資産の売却を進めるとし、星野リゾート・トマムを主要な資産とする株式会社新雪の株式の99.998%を、不動産投資などを手掛ける合同会社YCH16に約408億円で売却(4)

実際に売却されたのは株式会社新雪で、株式会社星野リゾート・トマムと株式会社トマムプロパティを子会社に持ちます。

(1)当初は星野リゾートが単独で買収を行い、その後米国系投資ファンドに運営会社である星野リゾート・トマムを部分譲渡した可能性もあります。
(2)星野リゾートトマム、中国企業が買収 183億円で はこちら
(3)平成29年 第1回 占冠村議会臨時会会議録 はこちら
(4)中国・復星、北海道星野リゾートトマム売却 約400億円 はこちら
(4)星野リゾート トマムの運営について はこちら

合同会社YCH16

新雪を買収した合同会社YCH16は、不動産投資会社で本社はバーチャルオフィスである可能性が高そうです。
また、同じ住所に合同会社YCH1から合同会社YCH15までありましたが、全て登記記録の閉鎖(合併、清算等)が行われています。

企業名 :合同会社YCH16
法人番号:1010403032613(2024年05月14日に法人番号が指定される)
住所  :東京都港区南青山2丁目2番15-825号
代表社員:鈴木 大亮(唯一の株主)

 

復星国際

復星国際(复星国际有限公司、Fosun International Limited)は、1992年に上海で創業された企業で、復星集団(グループ)の基幹企業です。
日本への投資は、主に子会社の株式会社イデラ キャピタルマネジメントを通して行われており、同社のHPには次のようにあります。

  • 2021.11 キロロリゾートの運用受託開始
  • 2019.07 ホテルオペレーターのThe COURT株式会社を子会社化
         (The COURTはEN RESORT Grandecoを運営)
  • 2015.12 トマムリゾートの運用受託開始

その他にも復星国際傘下に次の企業があります。

  • クラブメッド
  • シーフォートスクエア シティグループセンター(東京・天王洲アイル)
  • シルク・ドゥ・ソレイユ(20%)

 

今後の展望

スキー場運営会社の星野リゾート・トマムに変更はなく、買収をしたYCH16は、ペーパーカンパニーの可能性が高そうで、スキー場の運営を直接行うことは考えにくく、当面の間は現状維持と考えられます。
YCH16の所有者は誰か分かりませんが、早く転売が行われ、その企業が投資を行うことがトマムにとって一番良いシナリオかもしれません。

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