2024年7月11日、公益財団法人全日本スキー連盟(SAJ)公認スキーバッジテスト規程と公認スノーボードバッジテスト規程の改正があり、スキー・バッジテスト1級と2級、スノーボード・バッジテスト1級の合格率がアップすることになりました。
(正確な内容は本文をご覧ください)
2023/2024シーズンまでの検定種目と採点方法
検定種目
スキーとスノーボードバッジテスト2級は3種目、スキーバッジテスト1級は4種目で検定が行われます。
種目と検定バーンは次の通りです。
スキー バッジテスト 2級
- 大回り :ナチュラル/中急斜面
- 小回り :ナチュラル/中斜面
- シュテムターン:ナチュラル/中斜面
スキー バッジテスト 1級
- パラレルターン ・大回り:ナチュラル/急斜面
- 基礎パラレルターン・小回り:ナチュラル/急斜面
- パラレルターン ・小回り:不整地/中急斜面
- 総合滑降 :ナチュラル/総合斜面
スノーボード バッチテスト 2級
- ミドルターン :緩中斜面
- ショートターン:緩中斜面
- フリーラン :緩中斜面
採点方法
検定員
主任検定員1名と検定員2名、合計3名でジャッジを行います。
主任検定員は、A級あるいはB級検定員で、全日本スキー連盟(SAJ)公認スキー指導員資格合格後、検定員試験に合格しています。
種目別得点
検定員3名が各自採点を行い、その平均値(小数点第1位を四捨五入)が得点となります。
仮に検定員3名の合計点が209点(平均69.7点)であれば、種目別得点は70点となります。
検定員の採点と種目別得点(1級の場合)
検定員A | 検定員B | 検定員C | 平均点 | 種目別得点 |
68点 | 69点 | 69点 | 68.7点 | 69点 |
69点 | 68点 | 69点 | 68.7点 | 69点 |
69点 | 69点 | 68点 | 68.7点 | 69点 |
69点 | 69点 | 69点 | 69.0点 | 69点 |
69点 | 69点 | 70点 | 69.3点 | 69点 |
69点 | 70点 | 69点 | 69.3点 | 69点 |
70点 | 69点 | 69点 | 69.3点 | 69点 |
70点 | 70点 | 69点 | 69.7点 | 70点 |
70点 | 70点 | 70点 | 70.0点 | 70点 |
71点 | 70点 | 70点 | 70.3点 | 70点 |
71点 | 71点 | 70点 | 70.7点 | 71点 |
合格点
1級
種目別の得点に関係なく、4種目合計が280点(4 x 70点)以上で1級合格です。
68点や69点の種目があっても、他の種目で71点以上があればよいということです。
2級
種目別の得点に関係なく、3種目合計が195点(3 x 65点)以上で2級合格です。
改正点
2024年7月11日の改正で、スキー・バッジテスト1級と2級、及びスノーボード・バッジテスト1級は、検定員が「2名でも」実施できることになりました。
公認スキー検定員にはA級、B級、C級があり、SAJ公認スキー指導員はA・B・C級、SAJ公認スキー準指導員はC級を検定員検定に合格することによって取得出来ます。
改正後の検定員の人数と検定員の資格
検定員の人数 |
主任検定員 |
検定員2 | 検定員3 |
2名の場合 | B級以上 | B級以上 | ー |
3名の場合 (昨シーズンと同じ) |
A級又はB級 | C級以上 | C級以上 |
(注)規程では、検定員の人数が3名の場合は「検定員が3名ともC級か名誉のときは、A級かB級の主任検定員をおく」とあり、主任検定員1名+C級検定員3名の検定も想定していると考えられる。
検証
検定員が3名から2名になったことにより、得点にどのような影響を与えるか1級検定の種目別得点を例にして検証を行います。
検証を行う上で次のことを前提条件とします。
- 各検定員の採点は1点以内(2点以上の差が無い)
- 種目別得点は検定員3名の平均を四捨五入した得点
検定員が3名の場合の採点
まずは、種目別得点で70点に1点足らない69点の場合、検定員3名がどのような採点であったかを考えます。
次の表のとおり、種目別得点が69点となるパターンは7種類あります。
検定員A | 検定員B | 検定員C | 平均点 | 種目得点 | |
#1 | 68点 | 69点 | 69点 | 68.7点 | 69点 |
#2 | 69点 | 68点 | 69点 | 68.7点 | 69点 |
#3 | 69点 | 69点 | 68点 | 68.7点 | 69点 |
#4 | 69点 | 69点 | 69点 | 69.0点 | 69点 |
#5 | 69点 | 69点 | 70点 | 69.3点 | 69点 |
#6 | 69点 | 70点 | 69点 | 69.3点 | 69点 |
#7 | 70点 | 69点 | 69点 | 69.3点 | 69点 |
検定員2名の場合の採点
検定員が2名ということは、先ほど検定員A、B、Cの内2名が採点を行うことになります。
仮に前記の検定員3名の内、検定員AとBの2名が採点を行った場合の種目別得点は次の表となります。
検定員が2名になったことにより、検定員3名では合格点に達していなかった2パターン、28.6%(2/7)の割合で得点が1点上がりました。
言い方を変えれば、1種目当たり、0.286点 期待値が上がることを意味します。
検定は4種目あるため、合計では 0.286点 x 4種目 =1.14点 期待値が上がることになります。
すなわち、今まであと1点足らずに涙を飲んでいた人が合格するということです。
検定員A | 検定員B | 平均点 | 種目得点 | |
#1 | 68点 | 69点 | 68.5点 | 69点 |
#2 | 69点 | 68点 | 68.5点 | 69点 |
#3 | 69点 | 69点 | 69.0点 | 69点 |
#4 | 69点 | 69点 | 69.0点 | 69点 |
#5 | 69点 | 69点 | 69.0点 | 69点 |
#6 | 69点 | 70点 | 69.5点 | 70点 |
#7 | 70点 | 69点 | 69.5点 | 70点 |
実例を基に検証
実際に検定員が3名から2名になった場合の得点の変化を見ていきたいと思います。
手元に1級の検定結果がなかったので、2022年2月20日に福島県某所で行われたテクニカルプライズの結果(4種目、各種目とも検定員3名の採点有)を利用し検証します。
検定員3名をA、B、Cとし、その内2名の採点結果をもとに種目別の点数を計算し、4種目併せて何点増えたかまとめます。
検定員の組み合わせとしてAとB、AとC、BとCの3パターンがあるので、それぞれ計算を行い、その平均を求めています。
検証結果
検証の結果、約50%の人受験者の4種目の合計得点が上がっていることが分かります。
35.2%の受験者はプラス1点、8.3%の受験者はプラス2点、5.6%の受験者はプラス3点となりました。(*)
前項で求めた期待値のプラス1.14点には及びませんが、プラス0.69点(1人当たり)の増加がありました。
今回の検証はデータ数が36名と少なく誤差が大きくなった可能性もあり、データが増えると期待値に近づくかもしれません。
(*)1種目当たりの得点の変化は0点かプラス1点であり、プラス3点ということは3種目でプラス1点となったことを意味します。
検定員 :3名をA、B、Cとし、その内2名が採点を行ったとする
受験者数:36名
種目 :4種目
合計得点:+0.69点(1人当たり)
総合得点 | 検定員 A+B |
検定員 A+C |
検定員 B+C |
平均 | ||||
プラス1点 | 13人 | 36.1% | 12人 | 33.3% | 13人 | 36.1% | 12.7人 | 35.2% |
プラス2点 | 4人 | 11.1% | 2人 | 5.6% | 3人 | 8.3% | 3.0人 | 8.3% |
プラス3点 | 3人 | 8.3% | 2人 | 5.6% | 1人 | 2.8% | 2.0人 | 5.6% |
プラス4点 | 0人 | 0.0% | 0人 | 0.0% | 0人 | 0.0% | 0.0人 | 0.0% |
合計 | 20人 | 55.6% | 16人 | 44.4% | 17人 | 47.2% | 17.7人 | 49.1% |
この採点はテクニカルプライズなので、1級と合格率を比べることはあまり意味がありませんが、検定員が2名になった場合、合格率は倍になりました。
- 検定員3名:合格者数3名(合格率8.3%)
- 検定員2名:合格者数6名(合格率16.7%)(仮定)
最後に
検定員が3名から2名になると、今までと同じ滑りをし同じ採点結果でも、半数の方は得点が上がることが分かりました。
すなわち、検定員が2名になれば合格者が増えることは確実です。
受験者にとっては朗報ですね(^.^)
525-1 公認スキーバッジテスト規程(別表含む) と
536-1 公認スノーボードバッジテスト規程(別表含む) はこちら
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