譲渡希望者登場、スキー場密集地帯、生き残りの岐路に立つ木島平スキー場

スキー場 国内

突然の発表でした。
2022年3月、木島平村が前々から経営が心配されていた木島平スキー場の民営化方針を発表しました。
その後10月6日、木島平村は「木島平スキー場」及び「ホテルパノラマランド木島平」の譲渡に向けて「SBCメディカルグループ株式会社」と基本合意を締結し、木島平観光の発行済株式の譲渡も合わせて、2023年3月に予定している本契約に向けて具体的に協議を進めています。

「木島平スキー場」「ホテルパノラマランド木島平」の譲渡について基本合意を締結 はこちら

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木島平スキー場

木島平スキー場は、木島平村が出資する第三セクター 木島平観光株式会社(社長:日䑓正博(木島平村村長)、村の出資比率:81.1%)が運営する、事実上の村営スキー場です。

長野県木島平村と山ノ内町の境にそびえる高社山(1351.5m)の麓には、かつて5つのスキー場があり連絡していました。
直線距離で3kmのところに北陸新幹線飯山駅が開業することを見越し、マックアースが、よませ、高井富士、やまびこの丘、牧の入高原の4スキー場の運営を行い、全山共通1日券も発売されましたが、全山統合はできませんでした。

残念なことに、その真ん中にあった やまびこの丘スキー場が2017/2018シーズンに営業中止となり、現在はスキー場が分断されています。

 

実現可能な(していた)巨大なスキー場 長野編 その2 はこちら

隣接する市町村のスキー場と利用者数

隣接する市町村には、そうそうたる顔ぶれのスキー場が並びます。
このなかで、市町村が実質的に税金を投入しているのは、栄村のさかえ倶楽部のみです。
飯山市には、かつては6か所のスキー場がありましたが今は2か所で、市からの補助はほんのわずかです。
山ノ内町のスキー場は民営で、野沢温泉スキー場は第三セクターの株式会社野沢温泉(村の出資比率:約29%)が運営していますが、黒字経営で村から指定管理料等の補填はありません。

記録的な小雪、新型コロナウイルスの影響がない2018/2019シーズンの隣接市町村にあるスキー場の利用者数です。
木島平スキー場は名が通っていますが、それ以上に周りのスキー場が有名で人気が高く、埋没していることがはっきりと分かります。

2021/2022シーズンの利用者数
  1. 志賀高原マウンテンリゾート 山ノ内町 :約 75.4万人
  2. 野沢温泉スキー場      野沢温泉村:約 29.2万人
  3. よませ温泉スキー場     山ノ内町 :約 18.7万人
  4. X-JAM高井富士       山ノ内町 :上記に含む
  5. 北志賀小丸山スキー場    山ノ内町 :上記に含む
  6. 竜王スキーパーク      山ノ内町 :約 15.6万人
  7. 斑尾高原スキー場      飯山市  :約 12.6万人
  8. 戸狩温泉スキー場      飯山市  :  約 6.4万人
  9. 木島平スキー場       木島平村 :  約 5.2万人
  10. さかえ倶楽部スキー場    栄村   :  約 1.9万人
  11. 牧の入高原スノーパーク   木島平村 : 上記に含む
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木島平村

長野県の北部、飯山市、中野市、野沢温泉村、山ノ内町、栄村と隣接する推計人口4,234人(2022年4月1日)の村です。
主な産業は農業と観光業(スキー場)で、村の世帯の3分の1以上が非課税世帯(*)です。

平成の大合併時、飯山市や野沢温泉村と合併協議を行う中で、両自治体の既存民間スキー場への影響を考慮し木島平スキー場の民営化が求められました。
しかし、木島平村は「スキー場は地域振興の柱」とし、合併時は第3セクター(実質村営)での運営を主張し合併協議は物別れに終わりました。

*)非課税世帯:夫、妻(パート)、子供二人の場合、世帯収入約300万円以下。
  詳細な条件があり、この数値は概算です。

公共施設等総合管理計画

2022年3月、木島平観光の資金繰りが悪化し、急遽5千万の特別予算が組まれました。
そして、同月、村が定める「公共施設等総合管理計画」の見直しが発表されました。
この見直しは村議会議員にも知らされておらず、村議会で多くの議員がこの件について質問をしています。

民間譲渡方針とした18の観光施設

公共施設等総合管理計画で18施設の民間譲渡が計画されており、その内12施設が木島平スキー場関連の施設です。
また、農村文化伝承施設 郷の家と馬曲温泉以外の施設はスキー場に隣接する場所にあります。

  1. (農村文化伝承施設 郷の家)
  2. (馬曲温泉)
  3. (やまびこの丘公園(建築物))
  4. (やまびこクラブハウス)
  5. (ふれあいの園テニスコート・管理棟)
  6. スキーセンター
  7. (ニコニコファーム機材置場)
  8. 山麓駐車場トイレ
  9. 第7リフト乗場下駐車場便所
  10. スノーマシン格納庫
  11. ナイター施設
  12. 11クワッドリフト
  13. 第8スカイフォーリフト
  14. 第6ペアリフト
  15. 第10ペアリフト
  16. 第3山頂ペアリフト
  17. 第2ペアリフト
  18. パノラマランド木島平(ホテル)

「公共施設等総合管理計画」説明会資料 はこちら

施設修繕費

全てがスキー場関連の費用ではありませんが、施設を継続利用した場合、長寿命化・更新対策に必要な経費は次のように見積もられています。

  • ホテルパノラマランド木島平等、保養6施設: 9億8,190万円(10年間)
  • リフトなどの観光21施設:                         15億2,546万円(10年間)

木島平観光株式会社の経営状況

木島平観光株式会社の経営状況です。
危機的な状況であることが見てとれます。

2018年度は燃料高騰によって800万円ほどの赤字、2019年度は台風19号、寡雪、そして新型コロナウイルスの影響で9,660万円の赤字。
2020年度は、新型コロナウイルスの影響の長期化ということで1,166万円の赤字となっています。

2020年度末で約2,260万円の債務超過に陥っています。
加えて、2022年2月10日開催の「第三セクター木島平観光株式会社に関する特別委員会」で決算予想が約8,500万円の赤字となり、運転資金不足から、運営補助金5,000万円の補正予算が3月3日に可決されました。

損益計算書(千円)

 2018年度2019年度2020年度2021年度
経常収益410,353284,663265,163 
経常経費420,637385,622315,148 
経常損益▲7,894▲95,903▲9,781▲3,733
経常外損益▲182▲708▲1,881 
当期純損益▲8,076▲96,611▲11,662▲3,551

貸借対照表(千円)

 2018年度2019年度2020年度2021年度
資産総額191,297158,631143,394135,081
負債総額105,621169,567165,993154,129
(うち木島平村からの借入金)40,00080,00080,000
純資産額85,676▲10,936▲22,599▲19,048

村の方針

2022年4月に行われた、令和4年4月第2回臨時会(村議会)で、議員からのスキー場の運営についての質問に対して、村は次のように答弁しています。

  • 土地を含めた資産、木島平観光の経営状況の整理を行っており、出来次第、譲渡先企業の募集を開始する
  • 民間譲渡(売却)は2022年10月を目途に行いたい
  • 民間譲渡できない場合は「村直営、または、休止や廃止も検討。いずれにしても、村の施設としては維持管理していくことは難しい。」(答弁が矛盾しています)
  • 2022年3月3日に可決された、木島平観光に対する5,000万円の貸し付けが無かった場合、同社は倒産していた
  • 民営化できない場合、さらなる公金をつぎ込むことはない
  • 木島平観光が日本政策投資銀行から借りている3,000万円の返済を村が肩代わりすることはない

上記の答弁の通りであれば、民営化できず、資金繰りが悪化した場合は、資金の手当てができず木島平観光は倒産することになります。
3年連続赤字であることを考えると、民営化以外に存続の道は無いように思えます。

 

木島平村議会 議会だより【2022年】  はこちら

考察

村はスキー場を民間企業に譲渡し、民間企業の力で赤字を解消したいとしています。
その為には利用者増が絶対条件であり、かつ周辺の名だたるスキー場よりも高い魅力を出す必要があります。
スキー場を選択する基準は多々ありますが、その内の代表的な項目を挙げてみたいと思います。

交通の便

オリンピックの開催により志賀高原に続く道路が整備され、志賀高原がぐっと近づきました。
その結果、周辺のどのスキー場に行くのもあまり、時間的な差がなくなりました。

スキー場としての魅力

周辺で最も標高が低く、雪質やシーズンの長さをアピールすることはできません。
また、周囲に大規模なスキー場が多く、ゲレンデの広さもアピールすることは難しい状況です。

宿泊施設(温泉)

残念ながらスキー場に隣接した温泉施設はありません。

空いている

ゲレンデが空いていることは大きな魅力の一つです。
しかし、利用者が少ないということを意味し、一時的には魅力として訴えることができますが、赤字解消の決め手とはなりません。

このような状況の中、いままでだれも思いつかなかったような画期的なアイディアを持ち、黒字化を成し遂げることができる企業は現れるでしょうか。

最後に

譲渡希望者が現れて一安心です。
本契約が締結されるまで、静かに状況を見守りたいと思います。

 

2022/2023 閉鎖する(かもしれない)スキー場 はこちら

コメント

  1. 厳しいですね。。。涙
    リフト6基の内、今年は5基動かしてるのかな?
    3基じゃダメなのかな??
    3基でも誰も困らない様に見えるけど。。。

    お隣のスキー場との共通券無いのかなぁ?

    北向き斜面のスキー場は雪が緩み難く良いんですけどねぇ。。。

  2. sbcさん決断を………

  3. 木島平がホームゲレンデのスノーボーダーです。大学生時代からお世話になったスキー場を無くしたくありません。できることを模索しましょう!

  4. 木島平スキー場には何度か行った事があるのですが
    まず第一にゲレンデ自体に近隣スキー場と比較して特段優位性が無いと思います。
    第二に食事を出来るレストランのようなモノが少ないのとメニュー内容が全然ダメですね。
    第三にリフト係や食事処で働く人間にウェルカムの精神が全く見えない事です。やる気がないと言うか来たけりゃ来れば?…的な対応にはビックリです。

    いくらリフト券等を割り引きしてもリピートしたいと思わせるような魅力に乏しいのです。
    シャッター通りのような廃墟ホテルが並んでいたりして、活気を全く感じないんです。
    スキーブームに乗っかって開業したのでしょうが、ちょっと自分達の足下を見誤った気がします。

    • コメント、ありがとうございます。
      頭我耕作さんが感じられたことが、現在の利用者数に現れていると思います。
      今までは、実質村営だったわけで、商談がまとまれば2023/2024シーズンより民営化されます。その時に、どこまで変われるかですね。