【中高年のテクニカルへの道】1級とテクニカルの間にある壁

スキー・スノーボード・雑記

【中高年のテクニカルへの道】第4弾です。

今まで中高年になると上達が遅くなる理由を書いてきました。
ここからは、テクニカル合格に向けて、より具体的なことを書いていきたいと思います。
まだの方は、初めから読んでいただき、考え方から変わっていただければと思います。

【中高年のテクニカルへの道】対象者と合格率編 はこちら
【中高年のテクニカルへの道】合格レベルと現状の理解 はこちら
【中高年のテクニカルへの道】年齢による上達のプロセスの違い はこちら

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1級とテクニカルの違い

私の考える1級とテクニカルの違いは、世間一般で耳にする次のような滑りではありません。

  • スピードが早い滑り
  • カービング(ずらさない滑り)
  • ノーミスの滑り
  • 見せる滑り

上記のことは結果であって、一番重要なことは基本に忠実な運動が出来るかどうかだと思います。
具体的に言うと、荷重点がブレずに屈伸が出来る、両足が同調して捻ることができる、などごく単純なことです。
バカにしていると思われるかもしれませんが、テクニカルに合格できていないということは、その単純な動きが正確に出来ていないのです。

テクニカルを目指している人と滑っていて感じることは、自分は基礎的な動きはできていると思っている人がほとんどで、応用技術の習得を目指そうとしています。
そして、何か魔法のようなテクニックがあり、それを習得すれば上達すると考えている節があります。
はっきりと言いますが、スキーの上達とは真逆のことで、いかに基本的な動きを正確に行うことが出来るようになるかということです。

 

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1級とテクニカルの間にある壁

一般的なレッスンでは、滑り方と呼ばれる技術的な課題に取り組む(教える)訳ですが、基本動作ができていないのに応用技術を学んでも効果は期待できません。
地盤が不安定な土地に基礎工事をせずに豪華な家を建てても、直ぐに崩れ落ちてしまうでしょう。
スキーも同様に基礎的な動きが出来て、初めて応用の動きが出来るのです。

中高年の方はレッスン好きで、時々レッスンを受けて滑りが劇的に変わったと喜ばれている人に出会います。
しかし、ほぼ間違いなく、日を改めると同じ滑りをすることができません。
それは、基礎が弱いので、たまたまゲレンデの斜度や雪質がその人の滑りにあった時に上手に滑れていたもので、斜面状況がほんの少しでも変わったら対応できないからです。
本当に上達しているのであれば、その人の滑りを見ればすぐに変化は分かります。

スキーの動きを分解すると前後のポジション、上下のポジション、左右のポジション、ひねり動作になり、各基本動作を説明します。
これらの動きの習熟度が、1級とテクニカルの差になっていると思います。

前後のポジション

スキーの基本は正しいポジションを維持することで、その中でも前後のポジションは一番重要です。
と言っても、ベストポジションはターンの局面により変化し、一定ではありません。
谷回りでは荷重点を前に移動し、板のトップを雪面にかますことで、板の撓みを生み出す支点をつくります。
そして、山回りで荷重点を板がもっとも撓む位置に移動します。
その位置は板により異なりますが、だいたい踝から踵の下になるように設計されています。
このように板の荷重点をターンの局面により前後に移動する必要があり、その為にはどこに荷重をしているか認識するための足裏の感覚が重要になってきます。
そして、足裏感覚を拡大し、板のどの部分に圧力がかかっているか(雪面抵抗)を感じる必要があります。
1級合格時だと、荷重点が足裏の前の方、後ろの方とだいたいの位置が分かる程度だったのではないかと思いますが、その感覚をどんどん研ぎ澄ましていきます。
人の感覚なので全員が同じになるとは限りませんが、足裏の荷重点が大きな円であったのが、だんだんと円が小さくなってい行くようなイメージです。
私は荷重点は10円玉ぐらいで、エッジのどの部分に圧力がかかっているか感じながら滑っています。

上下のポジション

スキーでは前後動が必要で、前後動や切替を行うために上下動を行います。
谷回りでは伸び上がることで荷重点を前に移動し、山回りで荷重点を板がもっとも撓む位置に移動します。
また、山回りでは切替の準備をするために、重心を板に近づける、すなわち小さくなっていきます。
この小さくなる時に、荷重点が前後に動くと板の撓みが解放されてしまい、エッジがずれることになります。

前回の投稿でもお話ししたとおり、複数の関節を連動させた動きが苦手な人が多く、このことは屋内で屈伸してみると良く分かります。
信じられないかもしれませんが、ほぼ全員、屈伸をすると重心が前後に動きます。
膝の曲がりの少ない人は股関節の曲がりが大きくなり上体がかぶり、股関節の曲がりが少なく膝の曲がりが大きい人はお尻が落ち後傾になります。
実際には、足首を固定したブーツを履いているので、足首の関節の動きを制限された中で屈伸を行う必要があり、難しさが増します。

左右のポジション

1級とテクニカルの一番大きな壁は谷回りで左右の重心移動が出来るかどうかだと、私は思っています。
1級合格者にこの話をすると、大体の人が谷回りはできているので私の事ではないと思うようです。
はっきりいうと、1級で2,3点加点で合格できるぐらいの人でないと谷回りはできていません。
谷回りができているとは、切替後に下の図のように両板の谷エッジで滑っている状態で、仮にスピードが無いとしたら倒れてしまうようなポジションです。
このポジションがとれるようになると、谷回りからずらして急斜面でもスピードコントロールが出来るようになります。
よくプライズを合格するにはカービングをすることが重要だと聞きますが、まったく逆でいかに「均等に」ずらすせるかが重要です。
特に小回りは急斜面で行われることが多く、フルカービングなどまずできません。
そのような時、いかに谷回りでずらしてスピードをコントロールするかが重要になります。

と言っても、この谷回り、そんなに簡単に出来るようになるものでません。
私は今まで、この谷回りを習得するための汎用的なレッスンを見たり聞いたりしたことがありません。
確立された練習方法が無いので、習得が高いハードルになっています。
自転車から補助輪をとる時のようなもので、乗れるまではどのようにして乗れるようなるか全く分からなかったのが、一度乗れるようになるとこけなくなるような感じです。

この壁を越えていない人に対するレッスン等での指摘事項の例です。

  • 重心が山側に残っている
  • 山側に伸び上がる
  • もっと、谷側に体を落として
  • もっと、迫って来る滑りをして
  • なかなか落ちてこない

ひねり

ひねり動作に置いて、滑りに大きな影響を与える関節には脇腹(背骨)と股関節があり、股関節の方が圧倒的に大きな捻り動作が行えます。
股関節の捻り動作、片足づつ行うのであれば、だれでも簡単にできますが、同調して行うことは、よほど練習をした人でないとできません。
両足を同調して捻ることができないとローテーションとなり、外足に力が伝わりづらくなります。
小回りやコブが不得意な人はほぼ間違いなく、このひねりができていません。

具体的には、動画(52~58秒)で紹介された動きになります。

 

最後に

基礎的な練習は単調で、上達までに時間がかかり、辛く修行のようなので行いたくないと思うかもしれません。
私はそれでも良いと思っています。
検定だけがスキーではないので、楽しいことをした方がよいです。
しかし、是が非でも合格したいと思うのであれば、楽しみは二の次にすべきです。
今の状態で滑るということは、クセがますます強化され、ゼロ地点に戻すまでに余計に時間がかかることを意味します。
ここが、若者と中高年の大きな違いで、若者であれば楽しみながら滑っているだけで上手くなることもありますが、中高年にその可能性は無いと思った方がいいでしょうか。
私の場合は、コブを上手く滑りたいという目標があり、横滑りやレールターンなど低速の基礎練習を毎日数時間、何年にも渡り行ってきました。
練習の辛さ(単調さ)よりも、思い通りに滑れるようになった時の喜びが勝っていたので、続けることができました。
テクニカル合格を目指すのであれば、もっと基礎練習の量を増やしてみてはどうでしょうか。

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