5回目の受験から5年後、この間にコブの滑りに長足の進歩があり、必ず合格するという強い思いで6回目の受験に臨みました。
まだの方は初回からご覧ください。
【1、2回目】現実が分かっていなかった、テクニカル受験記 はこちら
【3、4回目】初めての種目別合格点、テクニカル受験記 はこちら
【5回目】前走は五輪銅メダリスト、テクニカル受験記 はこちら
目標
今回の受験にあたり、2つの目標がありました。
一番の目標は、コブで77点を出すことです。
普段はコブばかり滑り、コブと共にスキーの技術が成長してきたので、結果を出したいと強く思っていました。
しかし、不安もありました。
それは、ゲレンデコンディションです。
脚力が弱いので固いコブは超~苦手です。
というか、普段そのような状況ではコブを滑ることはありません。
もうひとつの目標は、もちろん合格です。
コブで77点がでれば、よほどのことが無い限り合格すると思っていました。
目標 | 合計 | 総合滑降 | 整地大回り | 整地小回り | 不整地小回り |
受験前 | 302点 | 75点 | 75点 | 75点 | 77点 |
検定会場
合格する気満々だったので、新潟県の越後湯沢近辺で最初に検定が行われる上越国際スキー場で受験することにしました。
上越国際は過去に1度しか滑ったことがなく、スキー仲間から検定を行うゲレンデを教えてもらっていましたが、会場をみるまでドキドキです。
検定は大回りから小回りコブまでセパレートされた同一のバーンを使用。
上から1/3ぐらいの場所で、中斜面から急斜面へゲレンデが落ち込み、最後に急斜面から中斜面への変わります。
コブは検定バーンの端に作成され、中斜面の部分が短く直ぐに急斜面になります。
過去のゲレンデマップでは、大沢ゲレンデは平均斜度15度(最大31度)となっていました。
体感的にも急斜面は25度以上はあったと思います。
事前講習受講者は、この辺の検定会場としてはものすごく少ない48名でした。
受講日 :2019年2月2日(土)
会場 :上越国際スキー場
ゲレンデ:大沢ゲレンデ
事前講習:48名
事前講習
事前講習は、午前に大回りと総合滑降、午後に小回りと不整地小回りが行われました。
大回りと総合滑降は、斜面下に3名の検定員が間隔をあけて立ち、ゼッケン順に受講生が手を挙げた検定員に向かって滑っていきます。
小回りと不整地小回りは同時に行われ、2名が小回り、1名が不整地小回りの事前講習を行いました。
コメント
受験者が(越後湯沢近辺の会場としては)少なく、また、天気が良く、心にゆとりをもって滑ることができました。
ゲレンデは、綺麗に圧雪がされていましたが、すこしジャガイモ(雪の塊)がありました。
各種目でいただいたコメントです。
総合滑降
1走目:プレターン、大回り、小回り、大回りの構成でOK。
:左右に引っ張りすぎ。
2走目:リズム変化を気にしすぎ、大回りがおろそかになっている。
:最高の大回りと少しのリズム変化でOK。
大回り
1走目:常に低い姿勢をキープするように。
:板を上から押せていない。
2走目:谷回りで板を体から離し、深い内傾角、回転弧がとれていることを褒められる。
:もっと、後半までエッジングを緩めず、切替で速度変化を出す方がいい。
:谷回りは軽くなっていい。
整地小回り
1走目:出だし、最後の中斜面はOK。急斜面で板が体の下に戻ってきていない。
2走目:同上
3走目:人の滑っていないコースを選択。
:板を体の下に戻すことを意識し、ゴロゴロで全体をずらして滑る。
:後半切った方が良いと言われる
4走目:急斜面で体が遅れないように、出だしの中斜面でずれを大きくしてスピードを制御。
:急斜面では、板を体から離し、そして体の下に板を戻すことのみ考える。
:合格!と言われる。
:途中2ターンほど(ゴロゴロ地帯で)板が逃げたが、コース状況を考えると77~78と言われ舞い上がる。
不整地小回り
人が多かったので、1本も滑りませんでした。
コブと整地、どちらを滑ってもよかったので、今更コブの滑りは変わらないと思い、ずっと整地を滑っていました。
事前講習後
事前講習が終わると直ぐにコブの下見に向かいました。
日が陰り気温が下がっいて、日中の温度上昇で大きく育ったコブが固くなり始めていました。
1本目は、様子見でずれの大きな滑りをし、2本目は少しだけずれを少なくしました。
3本目にスピードを上げて滑ると、急斜面から中斜面の変わり目でコブが急に縦長になるところの処理がうまくいかず、コースアウトしてしまいました。
後味が悪かったのですが、リフト終了時間が迫っていたので、そのまま長峰ゲレンデに戻り、上越国際スキー場前駅に向かいました。
目標点
事前講習内でのコメントが思いのほか良かったので、舞い上がっていました。
コブは思い通りの滑りができず、少し不安が残りましたが、検定当日のゲレンデ状況をみて滑り方を決めることにしました。
目標 | 合計 | 総合滑降 | 大回り | 小回り | 不整地 小回り |
受験前 | 302点 | 75点 | 75点 | 75点 | 77点 |
事前講習修了時 | 304点 | 75点 | 75点 | 77点 | 77点 |
テクニカル検定
いよいよ検定当日を迎えました。
2月にしては暖かい絶好のスキー日和、受験者は事前講習から4名減って44名でした。
シーズンが終わりに近づくと事前講習受講者より受験者の方が多くなるのですが、初っ端だったので(たぶん)検定のみの人はいませんでした。
検定日 :2019年2月3日(日)
会場 :上越国際スキー場
ゲレンデ:大沢ゲレンデ
受験者 :44 名
さあ、検定が始まりました。
検定順に滑走前後の心の声です。
大回り
全員でシマシマのゲレンデを均した後に検定開始です。
温かくゲレンデが緩んできていましたが、滑走性に大きな影響はありません。
谷回りで板を体から離すことだけに意識を集中して滑り、できることは行ったと思います。
自己採点:75点
総合滑降
大回りと同じように滑り、まずまずの滑りができました。
自己採点:75点
小回り
事前講習時よりスタート位置が下げられ、急斜面に落ち込む直前から滑り始めることになりました。
斜面変化がなくなり、ミスをする可能性が減って喜んでいました。
しかし、このことが悲劇を生みました。
総合滑降を滑った時の雪面状況をイメージして滑りだしたのですが、思った以上にゲレンデが緩んでいて、谷回りで板がぜんぜん体から離れません。
途中で修正する能力もなく、膝下だけでカービングをしているような感覚でした。
想定外の大失敗で、点数が出てください、と祈るような思いでした。
自己採点:76点
不整地小回り
3種目を終わった時点の自己採点は+1点。
転ばなければ合格と思っていたいので、最終種目を気楽に迎えることができました。
全員で一度コブを均したときに、コブの緩み具合が分かりました。
その時点でコブが大きく成長していて、ローテーションの関係で滑走順は後ろの方だったので、コブのさらなる成長が心配です。
しかし、緩斜面から急斜面に落ち込むので、待機地点からはコブの大きさも、他の受験者の滑りも全く見えません。
状況が分からないので、少し抑えめに入ることにしました。
スタートをして直ぐに急斜面に入るのですが、板がまったく進みません。
まるで、整地でゆっくりとずれの多い小回りをしているようです。
スピードを出したかったのですが、コブは深かく、途中でスピードを上げることができませんでした。
コブが易しすぎたので目標の77点には届かないと思い、少し暗い気持ちになりました。
自己採点:76点
合格発表
合格発表は1時間後に長峰ゲレンデにあるスキースクール前で行われます。
大沢ゲレンデからは移動で20分以上かかるので、ランチをとらずに少し滑ってからスクール前に向かいました。
自己採点では合格しているので、講評中も気もそぞろ、発表が待ち遠しくてしかたありません。
講評が終わり、さあ発表です。
〇〇番、えっ!?
いきなり自分より後ろの番号です。
△△番、ほっ、前になった。
◇◇番、また後ろに。
ここまで来てやっと、点数順に呼ばれていることに気が付きました。
その後、無事に番号を呼ばれました。
表彰式の後、張り出された採点表をみてびっくりです。
自己採点が合っていたのは、たった1種目小回りのみでした。
- 総合滑降 :74点
- 大回り :74点
- 小回り :76点
- 小回り 不整地:77点
受験者:44 名
合格者: 7 名
合格率:15.9%
(心の中の)得点推移
実力がなかっただけですが、思い描いた点はなかなかでないものです。
得意な小回り系の種目の加点で、不得意な大回り系の種目の減点を補うことができました。
心の中の得点推移
合計 | 総合滑降 | 大回り | 小回り | 不整地 小回り |
|
目標(検定前) | 302点 | 75点 | 75点 | 75点 | 77点 |
目標 (事前講習修了時) |
304点 | 75点 | 75点 | 77点 | 77点 |
自己採点 (検定終了時) |
302点 | 75点 | 75点 | 76点 | 76点 |
結果 | 301点 | 74点 | 74点 | 76点 | 77点 |
テクニカル検定、得点推移
回数 | 受験日 | 検定会場 | 4種目 合計 |
総合 滑降 |
大回り | 小回り | 小回り不整地 |
1回目 | 1994年 | 黒姫高原 | ? | ? | ? | ? | ? |
2回目 | 2004年4月 | 志賀高原 | 294 | 73 | 73 | 74 | 74 |
3回目 | 2005年3月 | 鹿島槍 | 295 | 74 | 73 | 74 | 74 |
4回目 | 2006年2月 | 鹿島槍 | 296 | 74 | 73 | 75 | 74 |
5回目 | 2014年3月 | 石打丸山 | 297 | 74 | 74 | 74 | 75 |
6回目 | 2019年2月 | 上越国際 | 301 | 74 | 74 | 76 | 77 |
最後に
冷や冷やものでしたが、コブ77点とテクニカル合格という2つの目標を達成することができました。
1級に合格してから約25年(四半世紀)、50歳でのテクニカル合格です。
楽しみで滑っていますが、頑張った証としてテクニカルだけは是が非でも合格したかったので感無量です。
また、検定の緊張感の中で、自分の思い描いていた滑りをすることの難しさを再認識しました。
合格時には、その後のモチベーションが心配でしたが、スキーの楽しさは変わらず飽きずにゲレンデに通ています。
あっ、一つだけ変わったことがありました。
それは、心に余裕ができてランチタイムが長くなり、コーヒーブレイクもとるようになったことです(笑)
SAJ、SIAスキー検定(バッジテスト)のまとめ はこちら
コメント