2023年3月12日の営業を最後に、その歴史に幕を閉じた ひだ舟山スノーリゾートアルコピアが、新たな形で再始動する可能性が高まってきました。
10月1日付で、スノーエスカレーターなどの施設の無償譲渡が行われました。
しかし、厳しい状況であることには変わりありません。
高山市のスキー場
現在の岐阜県高山市は、2005年に平成の大合併で旧高山市と近隣9町村が合併して誕生しました。
その面積は全国市町村の中で最大で、大阪府や香川県より広く、東京都とほぼ同じ広さです。
2022/23シーズン、高山市内には、ほうのき平スキー場、平湯温泉スキー場、モンデウス飛騨位山スノーパーク、飛騨高山スキー場、荘川高原ファミリースキー場、そして ひだ舟山スノーリゾートアルコピアと6か所のスキー場があり、かつてはチャオ御岳スノーリゾートもありました。
市所有のスキー場
2022/23シーズン、高山市には、ひだ舟山スノーリゾートアルコピア、モンデウス飛騨位山スノーパーク、そして飛騨高山スキー場と3か所の市所有のスキー場がありました。
かねてより、市所有のスキー場の在り方についての議論は行われ、その中で数年前よりアルコピアとモンデウスのどちらか一方を廃止する方向で進んでいました。
そして最終的にはモンデウスが存続、アルコピアが廃止となりました。
アルコピアは、モンデウスの南東、直線距離で4km弱の場所に位置していました。
合併前は、アルコピアは久々野町、モンデウス飛騨位山は宮村と別の自治体が運営していたので、このような近くに2つの公営スキー場が営業することになりました。
ひだ舟山スノーリゾートアルコピア
1963年12月にオープンしたアルコピアは、最盛期には20万人を超える利用者が訪れていましたが、近年は客足が遠のいていました。
これは、東海北陸自動車道の開通により高鷲スノーパークなどの郡上市のスキー場に人が集まるようになったのも原因のひとつと考えられます。
そして、2023年3月12日に59年に渡るその歴史に幕を閉じました。
ひだ舟山スノーリゾートアルコピア利用者数
- 2017/18:27,034人
- 2018/19:16,651人
- 2019/20: 4,648人
- 2020/21:16,347人
- 2021/22:24,428人
廃止後
Campfire
2023年3月11日、アルコピア最終営業日前日にクラウドファンディングサイトCampfireで、市からスキー場を買い取ることで合意したという人が現れ、目標金額200万円のプロジェクトを始めました。
「私はどうにかならないかと何度も何度も市に掛け合いスキー場を買い取り経営を継続させてもらえる形に進めることが出来ました。」
閉鎖される岐阜県高山市営スキー場「ひだ舟山アルコピアスキー場」を復活させたい! はこちら
しかし、この時点で市がスキー場の売却に合意した言う事実はなく、またクラウドファンディングの目標額200万円は、とてもスキー場再生を行える額ではありえませんでした。
無償譲渡
一方、市と話し合いが行われていたことは事実であり、9月12日に「議第103号 市有財産(旧飛騨舟山スノーリゾートアルコピア屋外ステージほか)の無償譲渡について」という議題が高山市議会に提出され、10月1日付でアルコピアの一部施設の無償譲渡が行われました。
しかし、譲渡品の中にリフトは無く、かつてのアルコピアとしての復活はなりませんが、スノーエスカレーターが譲渡されたことで雪遊び場とし営業は可能となりました。
10月中旬にリフトの撤去は完了しており、植林が行われるかは不明です。
譲渡時期
2023年10月1日
譲渡資産
建物
- 木造平屋建(屋外ステージ) 127.9 ㎡
- 鉄骨造平屋建(圧雪車車庫) 100.04㎡
- 鉄骨造平屋建(第2クワッドリフト搬器倉庫)200㎡
- 木造平屋建(下部ポンプ室) 40.12㎡
- 軽量鉄骨造平屋建(コンプレッサー運転室)40.15㎡
- 木造平屋建(降雪機具倉庫) 44.71㎡
- 軽量鉄骨造平屋建(駐車場管理棟) 8.52㎡
設備
- エスカレーター 1基
- 人工降雪設備(ポンプ、コンプレッサー、配管)1式
備品
- 圧雪車 3台
- スノーモービル 6台
- スノーマシーン(移動式人工降雪機)4台
- タイマー(競技用計時装置)1台
- トラック(1トン車)1台
配置図
令和5年第4回定例会提出議案
会議の録画配信
- 第3議第103号 市有財産(旧飛騨舟山スノーリゾートアルコピア屋外ステージほか)の無償譲渡について はこちら
今シーズンと今後の課題
スノーエスカレーターなどの設備の譲渡が行われたことにより、今シーズンの営業は可能となりました。
ただ、アルコピアという名称は継承できるかもしれませんが、スキー場というよりは雪遊び場に近いものとなり、クラウドファンディング時の説明と大きく異なります。
そして、これからの課題は施設・設備・備品の維持管理です。
市長の答弁にもありましたが、これらの施設・設備・備品は老朽化しており、資産価値が無いため無償譲渡を行ったということです。
圧雪車1台をとっても、メンテナンスだけで年間数百万円単位の費用がかかると思います。
全ての資産を利用するわけではないと思いますが、それでも維持管理は大変です。
今後を見守りたいと思います。
2023/2024 廃止・閉鎖する(かもしれない)スキー場 はこちら
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