悲しい3択問題が決着。越路、ひめかゆ、国見平スキー場

スキー場 国内

2022年4月18日、岩手県奥州市議会全員協議会で「奥州市スキー場のあり方方針(案)」について報告がありました。
その内容は、越路スキー場、ひめかゆスキー場、国見平の3スキー場のうち、奥州市が運営するスキー場は1か所のみとし、3~5年後には民営化を目指すというものでした。

悲しい3択問題

奥州市

奥州市は、2006年に水沢市、江刺市、前沢町、胆沢町、衣川村が合併して誕生した岩手県第2の都市で、人口112,538人(2022年3月31日現在)です。
メジャーリーグで活躍中の大谷翔平選手の出身地(旧水沢市)としても有名です。

3か所のスキー場はそれぞれ、合併前の市町村が運営していました。

  • 越路スキー場  :旧江刺市
  • ひめかゆスキー場:旧胆沢町
  • 国見平スキー場 :旧衣川村

奥州市にあるスキー場はこの3か所のみですが、奥州市の中心地、水沢駅からは車で約1時間のところに夏油高原スキー場があります。

越路、ひめかゆ、国見平スキー場

越路、ひめかゆ、国見平スキー場は小規模なローカルスキー場です。
ひめかゆ、国見平スキー場は2本のリフトがありますが、越路のリフトは故障中です。
また、ホームページがあるのは、ひめかゆスキー場のみです。

利用者数

過去10年間の各スキー場の利用者数です。
2018/19シーズンまでは、利用者の多い順にひめかゆ、越路、国見平でしたが、2019/20シーズンからペアリフトの故障によりリフトなしで営業を続けている越路の利用者数が激減しました。

収支

越路は、指定管理料、修繕費等、ひめかゆと国見平は、スキー場担当の正規職員の人件費、経費からリフト・レンタル代収入を引いた、市の収支(赤字)の推移です。
修繕費等の影響で年度毎のばらつきがありますが、3スキー場とも年平均約2千万の赤字です。

奥州市スキー場のあり方方針

「奥州市スキー場のあり方方針」は、「奥州市スキー場のあり方に関する検討報告書」を踏まえ、次のようになりました。

市が運営するスキー場の数 → 1スキー場

市は全スキー場の運営から撤退すべきと考えていますが、一定の観光客の誘客が図られていることに加え、冬季期間の市民の健康増進環境やスポーツ環境の確保、次代を担う子どもたちの健全育成やスキー人口の底辺拡大といった複合的な要素を考慮し、運営するスキー場の数は1つとすることが適当であると判断しました。 

市が運営するスキー場の運営形態 → 指定管理者制度(公設民営)

指定管理期間は2022/23シーズンから3~5年程度とし、その間に当該スキー場の民間移譲に向けた検討と手続きを進め、指定管理期間満了の翌シーズンからの民設民営での運営への移行を目標とします。

市が運営するスキー場 → 市場調査を参考に決定

今後実施する市場調査において運営希望の申出のあったスキー場を第一義とします。

主な予定

4月中旬~:指定管理制度による運営希望スキー場の確認
5月中旬 :スキー場エリアを活用した観光振興に向けての提案
     :あり方方針(案)に係る市民意見の聴取(パブリックコメント)
5月下旬 :あり方方針、市が運営するスキー場の決定報告
6月下旬~:指定管理者の募集
8月中旬 :指定管理者候補者の審査(指定管理者選定員会)
8月中旬 :指定管理者候補者選定結果の報告
9月初旬 :市議会定例会において指定管理者の指定

全員協議会会議録(令和4年4月18日) はこちら

国見平スキー場の存続決定

日本第2位のスキー場運営数を誇る株式会社クロスプロジェクトグループのグループ企業、夏油高原スキー場を運営する株式会社北日本リゾートが国見平スキー場の指定管理者に応募したことにより、存続は国見平スキー場に決定しました。

そして、2022年9月5日の奥州市議会で、指定管理期間は2022年10月1日~2025年3月31日の2年6か月、同期間の委託料は約5300万円と決定しました。
将来的な譲渡を前提に、指定期間を短くしたとのことです。

今後の展開

現在の利用者数は1万人前後ですが、地理的に少し離れているとはいえ、2021/2022シーズンの3スキー場合わせた利用者数約4万人のポテンシャルがあります。
加えて、夏のアクティビティを行い、成功すれば、営業的にも魅力的なスキー場に変貌できる可能性があります。

最後に

雪国には、平成の大合併により複数の公営スキー場を抱えた自治体があります。
これは、スキーブームのころ各自治体がこぞってスキー場を建設したことに端を発しています。
そして、この時期まで民営化されずに残っていたスキー場は、ほぼ全てが自治体の支出によって存続しています。
しかし、索道(リフト)の耐用年数が迫っているスキー場が多く、さらなる投資を多なうことができない自治体が増えてきました。
奥州市などはスキー場が主要な産業ではないため、市場原理に則った冷静な判断が下させたのではないでしょうか。

一方、山間部の小規模な自治体では唯一の大規模な産業がスキー場で、人口数千人の町や村が毎年億円単位の税金を投入して、スキー場を維持しているところが多々あります。
中には、赤字スキー場の統廃合が条件としてあったために、平成の大合併で、合併を断念した自治体もあります。
最悪の結果として、多額の税金が投入されている自治体が運営するスキー場が生き残り、近隣の民営スキー場を廃業に追い込みかけているところもでてきました。

しっかりとしたコアユーザがいるスキー場は魅力ある産業ですが、まだまだ日本にはスキー場が多すぎます。
近隣に民営スキー場がある自治体には、早く賢明な判断をしてほしいと願っています。

 

2022/2023 閉鎖する(かもしれない)スキー場 はこちら

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