継続も地獄、廃止も地獄、公営スキー場運営

スキー場 国内

長野県木曽町が運営する2つのスキー場と1つのロープウェイについて、「木曽町スキー場等あり方検討委員会」で議論が行われ、その内容が公開されていたので概要をお伝えしたいと思います。

協議結果報告書

報告書の概要です。

  • 施設を現状のまま存続するべきと考える委員は少数
  • 運営する期限を設けるべきとの意見が大多数
  • 今後5年、平均1年間で 2 億 2000 万円の公費負担について減らすべきと考える委員が大多数
  • 同一の指定管理者でなく、施設を分けて担わせるべきであるという意見が多くあり(現在は3施設を1社で管理)

この報告書に至った主なデータをあげていきます。

長野県木曽町

長野県木曽地方、岐阜県と県境を接する人口約1万人の町です。

県境には、標高 3,067 m の御嶽山(おんたけさん)があります。

スキー場利用者数

利用者数の漸減傾向が続いています。

他の多くのスキー場と同様な傾向でが、木曽福島スキー場は、やや落ち込みが激しいようです。

営業収支

指定管理者の損益計算書によると、御岳山の噴火以降、毎年約1億円の赤字が続いています。

また、運営する3つの施設全てで利用者が減少しています。

注)御岳ロープウェイも含まれます。

  指定管理料、リフト等の施設維持管理料は含まれていません。

設備維持料、廃止時の費用

運営を続けるにあたり、リフトなどの維持管理が必要になり、継続し続ける場合と8年後に廃止する場合の費用が試算されています。

また、廃止した場合、国に返却するにあたりリフト等の構造物の撤去はもちろん、跡地に植林を行い森に戻す必要があります。

継続する場合、約2億5千万円/年の整備費と、単年の営業収支の赤字分を負担することになります。

 整備計画 廃止費用
 継続8年で廃止リフト撤去後、植林
 2019-2026年分2019-2026年廃止後20年間
木曽福島スキー場10億6730万円6億2480万円5億8940万円
開田高原マイアスキー場9億1760万円7億3260万円10億0529万円

出典:令和元年09月02日 木曽町スキー場等あり方検討委員会の内容について

経済波及効果

報告書には、各スキー場からもたらされる経済効果についての試算があります。

具体的には、町内で支払われる宿泊費、飲食費、お土産代などから波及する効果について試算しています。

町民の雇用確保に繋がる部分なので、町としては考慮する必要がありますが、数字自体の取り扱いが難しいので割愛します。

一般会計

令和2年度の一般会計当初予算額は約115億円です。

この中で、町税などの自主財源は約24%の約28億5千万円で、約50%は地方交付税で賄われています。

すなわち、全ての人が費用を負担をしているということです。

注)年度により変わりますが、東京都などを除き、ほぼ全ての地方自治体は国から地方交付税の交付を受けています。

最後に

木曽町は問題を認識し議論を行い関連資料を公表しており、このことは素晴らしいことだと思います。

全国に200以上あると言われている公営スキー場のほとんどが赤字で、木曽町と同じ問題を抱えています。

赤字の補填が無い民間企業であれば、結論を出すまでに時間がかからないことも、自治体が決断するには時間がかかるようです。

スキー場は年間600万人訪れる、素晴らしいコンテンツです。

疲弊しているスキー場産業ですが、良質なサービスを提供できるスキー場が立ち直る余力があるうちに、適正な数に整理されることが求められていると思います。

どの自治体も問題意識を持っているとは思うのですが、自分で自分の進路を決めるのが難しいのであれば、国が方針を出す必要があるのかもしれません。

コメント

  1. ただ,単体で赤字だからとスキー場を廃止すると,他に観光資源が無ければ,冬の間全く,外から人が入って来なくなるんですよね。
    そうすると,ホテル・旅館はもとより,スーパーやコンビニ,ガソリンスタンドなど,かなりの商売が成り立たなくなってしまう。
    それで宿やお店などが無くなってしまうと,夏場の登山やゴルフ客も入って来なくなる。
    そういう意味では,運営が赤字とか,廃止すると原状回復費用が高額といった部分だけでなく,経済波及効果が実際どうなのか,という部分の考察が,最も大事なのかもしれません。

    • おっしゃる通りだと思います。
      レポートでは、経済波及効果についても細かく試算されています。
      一方、日本全体で見た場合、今のスキー場の数を維持することは大変困難だと思います。すなわち、今のままでは状況が好転する可能性はほとんどないということです。
      自治体として考えなければいけないのは、このまま赤字の補填を続けるか、その額を他の雇用を生む政策に振り向けるかの決断をすることです。少なくともこの問題に最も詳しいであろう検討委員会は、今のままでの継続は望ましくないと考えているようです。

  2. 大手民間の運営会社は別の季節産業と従業員をうまく融通してるみたいで、スキー場の営業期間が終わったらゴルフ場で仕事って方もいらっしゃる様です。
    「食堂のあの人ゴルフ場の食堂にいた」とか。
    指定管理者に手を上げる側の都合も十分考慮願いたいです。
    指定管理者も、管理している別のスキー場をシーズン券の割引特典にしたり、共通化して魅力を増したり、融通して効率上げるなど努力させているのを拝見します。

    雪あり県民として思う事ですが
    紅葉が終わって寒くなると近所の公園から子供たちが居なくなります。
    ネズミ色の空、晴れていても湿った地面に遊具です。
    スキー場はそんな子供たちがスキーやスノーボードだけでなく、そり遊びをする場でもあります。
    廃業になったあのスキー場で練習していたレーサーの子たちは、どこで練習してるのだろうか?。。。涙

    匿名さんのおっしゃる通りで、不便になってしまったら、若い人は居なくなり、田んぼや畑も。。。涙
    悪循環にならなきゃ良いけど。

    • 悲しいかな、バブルの絶頂期にスキー場を造ったので、今の利用客では全く採算が合わないと思います。
      正確には分かりませんが、1割、2割利用者が増えても、全スキー場が生き残れるほどの需要ではないでしょう。
      一方、新潟レジャースキーヤーさんが心配されている通り、地域に根付いたスキー場も必要だと思います。
      北海道のローカルスキー場のように公園の一部として自治体が運営するなど、今と違う形で雪と触れ合う場所が必要だと思います。