【考察】奇跡のV字回復、そして今後の国設胎内スキー場

スキー場 国内

2020/2021シーズンの営業中止を検討していた、新潟県下越地方にある国設胎内スキー場が、スノーヤーの熱意に後押しされて営業継続、そして奇跡の大復活を遂げました。

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新潟県下越地方のスキー場

新潟県下越地方には北から、村上市営ぶどうスキー場、わかぶな高原スキー場、国設胎内スキー場、ニノックス スノーパーク、三川・温泉スキー場と5か所のスキー場がありした。
2019/20シーズン、記録的な小雪で営業できたのはニノックスのみでした。
そして、営業再開されることなく、わかぶな高原スキー場が廃止となりました。
2020/21シーズン、新型コロナウイルスの影響もあり、村上市営ぶどうスキー場は営業中止、
また、ニノックス スノーパークは、上級者コースにアクセスできる第2クワッドリフトが事実上の廃止で、初中級者向けのゲレンデとなりました。
胎内スキー場も当初は営業を中止する予定でした。

胎内スキー場とニノックスは直線距離で約20kmで、ぶどうスキー場と三川温泉スキー場は地理的に少し離れています。
わかぶな高原スキー場は胎内スキー場から北西約20Kmの位置にありました。

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国設胎内スキー場

営業中止を撤回

胎内スキー場は、2019/20シーズンは記録的な小雪の影響でリフトの運行を行うことができず、「ちびっこぱ~く」のみの営業で、利用者数はわずか480人でした。
同スキー場の所有者の胎内市は、新型コロナウイルスの影響を考慮し、一度は2020/21シーズンの営業中止するとしました。
しかし、利用者からのスキー場営業の熱意に押され、目標金額3,000万円の「スキー場の営業準備費、存続のための基金」を募ったところ、市の呼びかけに応じ2,300万円以上(2020年9月29日時点)の支援金が集まり、2020/21シーズンの営業が決まりました。

V字回復

下越地方の5つのスキー場の2014/15シーズンからの利用者数の推移です。
スキー場の標高が低く、降雪量により営業日数が大きく影響され、結果として利用者数の変動がありますが、コロナ前の5年間、平均で年間約18万人の利用者がありました。
比較的近くにある胎内、二ノックス、わかぶな高原の3スキー場の合計では約15万人です。
2020/21シーズンは平年並みの降雪量があり、胎内スキー場は3月14日(日)まで営業することができ、利用者を大きく伸ばし下越地方で一番の72,000人となりました。
そして、2021/22シーズンはさらに伸ばし、利用者が80,000人に到達しました。
新型コロナウイルスが治まれば、利用者が10万人を越えることも夢ではありません。

株式会社胎内リゾート

株式会社胎内リゾートは、胎内市が出資(60%)する第三セクターで、胎内スキー場などを運営しています。
他の出資者は地元企業の株式会社小野組と株式会社中条タクシーが20%づつです。
多くの施設の指定管理者となっており、2021度は併せて63,800,000円の指定管理料が支払われています。

管理施設

  • 胎内スキー場
  • ロイヤル胎内パークホテル
  • 奥胎内ヒュッテ
  • そば処みゆき庵
  • 胎内フィッシングパーク
  • 胎内ボート場
  • 奥胎内野営場 
  • 胎内テニスコート

営業利益

企業経営は芳しくなく、毎年多額の赤字を出しています。
ロイヤル胎内パークホテルと奥胎内ヒュッテの経営が壊滅的で、コロナ前から赤字でした。
一方、胎内スキー場の運営状況は良好で、2020年度には黒字に戻しています。
利用者の増えた2021年度は、黒字幅が大きくなること間違いないと考えられます。

  2018年度 2019年度 2020年度 2021年度
胎内スキー場 582万円 ▲3,669万円 4,634万円  
ロイヤル胎内パークホテル ▲6,456万円 ▲6,197万円 ▲8,471万円  
奥胎内ヒュッテ ▲1,770万円 ▲1,176万円 ▲896万円  
そば処みゆき庵 592万円 703万円 376万円  
フィッシングパーク 287万円 275万円 ▲160万円  
合計 ▲6,763万円 ▲10,064万円 ▲4,517万円  

大規模改修工事

胎内スキー場の営業利益は黒字でしたが、手放しで喜べない点があります。
スキー場を運営するにはリフト等の修繕費が必要ですが、現時点ではそれらの費用は胎内市が負担しています。
これら合算するとスキー場としての収支はトータルではマイナスと考えられます。

  2018年度 2019年度 2020年度 2021年度
胎内スキー場 17,760万円 1,390万円 6,672万円
ロイヤル胎内パークホテル 8,362万円 694万円 13,484万円
奥胎内ヒュッテ 4,903万円 0円 0円

考察

結論から先に言うと、胎内スキー場の未来は明るいと思います。
それは、黒字化できる要素が詰まっているからです。

スキー場運営

スキー場運営の主な収益は索道(リフト券)とサービス(レストラン、レンタル等)です。
胎内リゾートは胎内スキー場ロッジ、ロッジ鹿ノ俣、ロッジモンキー、ロッジポプラ(営業中止中)、ロッジラビット(営業中止中)とスキー場内の全施設の運営を行っており、理想の経営環境です。

他のスキー場の状況をみてみると全施設を運営している場合、採算ラインは利用者10万人程度と考えられます。

競合と利用者数

コロナ前、近隣3スキー場の利用者数は合計で約15万人でした。
わかぶな高原は廃業し、二ノックスは上部のリフトを廃止したことにより2コースのみの初心者専用ゲレンデになりました。
近隣でスキー、スノーボーダーの上級者が満足できるスキー場は、実質胎内スキー場のみとなりました。
胎内の利用者が増加する一方、二ノックスの利用者が増えていない状況を踏まえると、コロナが落ち着けば利用者が10万人を超えることも夢ではないと思います。

胎内市の支援

市発表の資料を読む限り、スキー場に対する支援を中止するという発言はみつけられません。
他の観光施設に比べても営業状況が良いだけに、支援を継続して行う可能性は高いと思います。

懸念事項

唯一の懸念事項は、降雪量です。
新潟県は豪雪地帯のイメージがありますが、新潟市など12市町村からなる下越地方のスキー場は標高が低く、降雪量はそこまで多くありません。
実際、2019/20シーズンは小雪の為、リフトの運転ができませんでした。
今後もこのようなことが無いとは言い切れませんが、平年に比べて極端に少ない降雪量だったので、めったに起こることはないと思います。
しかし、スキー場の営業日数の確保は重要な課題なので、降雪機等の積極的な投資を行ってほしいです。

コメント

  1. 初心者は新発田市のニノックスへ
    ある程度滑れたら胎内スキー場へ
    ただ、それだけでしょう。
    胎内スキー場で鍛えられて育ったスキーっ子は多いですから。

  2. 胎内スキー場、毎年雪に悩まされるけど、面積では下越1!小さい頃からお世話になったスキー場だけに頑張って欲しい…!