2024年4月12日、全日本スキー連盟(SAJ)公認スキー指導者検定基準及び実施要領が改正され、検定種目が変更となりました。
SNS界隈で、検定種目にコブが無くなったと言っている人がいますが、結論から言う昨年と変わっていません。
つまり、コブがあれば(造れれば)コブで検定が行われ、なければナチュラルバーンで行われるということです。
ただし、明記されているわけではないので、違う解釈で検定が行われる可能性はあります。
公認スキー指導者検定
公認スキー指導者検定基準及び実施要領とは、スキー指導員検定とスキー準指導員検定の基準と実施方法を定めた規程です。
2024年4月12日の改定で、種目数が8種目から6種目となり、基礎課程・実践課程と言われていた区分が無くなりました。
また、旧基礎課程と言われていた種目に変更がありました。
~2023/2024 | 2024/2025~ | |
基礎課程 | プルークボーゲン 緩斜面・整地 |
プルークボーゲン 緩斜面・整地 4~6回転 |
滑走プルークから基礎パラレルターンへの展開 緩斜面・整地 |
プルークボーゲンからベーシックパラレルターンへの展開 緩斜面・整地 6~8回転 |
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基礎パラレルターン・小回り 中急斜面・ナチュラル |
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横滑りの展開 中急斜面・ナチュラル |
横滑りのショートリズムからベーシックパラレルターン小回りへの展開 中急斜面・ナチュラル |
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ー | シュテムターンからベーシックパラレルターンへの展開 中急斜面・ナチュラル 6~8回転 |
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実践課程 | シュテムターン 中急斜面・ナチュラル |
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パラレルターン・大回り 急斜面・ナチュラル |
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パラレルターン・小回り 中急斜面・不整地 |
パラレルターン 小回り 中急斜面・不整地を含むナチュラル |
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総合滑降・リズム変化 総合斜面・ナチュラル |
総合滑降 リズム変化 総合斜面・ナチュラル |
パラレルターン・小回り
コブが無くなると騒がれたわけですが、規程ではパラレルターン・小回りの検定を行う斜面が「中急斜面・不整地」から、「中急斜面・不整地を含むナチュラル」と「ナチュラル」と言う言葉が加えられただけです。
この記述で、コブが無くなったと言うには無理があります。
想像するに、現状に即した表現に変更したのではと思っています。
コブは自然にできるもので、常にあるとは限りません。
一部のスキー場では常設でコブを造っていますが、それでも大雪が降ればコブが埋もれてしまいます。
また、雪が少ない時はコブを造ることができません。
そのような状況でも、検定日を変更することはできないので、現在でもコブができていない不整地で検定は行われることがあります。
このような状況を規程に落とし込んだのではないでしょうか。
仮に検定種目からコブが無くなると
仮に検定種目からコブが無くなるとどうなるか考えてみました。
準指導員検定を受験するためには1級に合格する必要があり、1級に合格するということは、コブ(パラレルターン小回り・不整地)で合格点を出した可能性が高いということになります。
では、1級のコブと準指導員コブの難易度はどのくらい違うのでしょうか。
公式の文章では、準指導員はテクニカルと同等レベルとなっていますが、それを信じていいる人は指導員の中にはいないと思います。
長いスキー経験の中で多くの知人が準指導員検定を受けてきましたが、準指導員検定は県連により大きな差があると、受験した人の滑りや点数を見て感じます。
某雪無し県の場合、1級に合格できる実力があれば、複数回の受験は必要ですが、準指導員にほぼ合格することができます。
そう考えると、準指導員検定にコブはあってもなくても、合格者のレベルは変わらないことになります。
一方で、受講者のレベルはどうでしょうか。
レッスンを受ける人は、修学旅行のように初心者や初級者、2級ぐらいまでの実力の人が大半です。
レッスン中にコブを滑ることまずありません。
指導者がコブを華麗に滑ることよりも、整地でボーゲンからパラレルまで分かりやすく指導できることの方が、よほど重要だと思います。
最後に
先ほどは雪無し県の準指導員検定の話をしましたが、某雪国の受験者は大変です。
受験者のほぼ全てがスキースクールの関係者で、検定員より上手いスキーヤーがごろごろ受験します。
なかには、全日本出場者やデモになるために指導員検定を受けている人も。
フィギアスケートやモーグルのエアーのように、採点基準が明文化されていないので、地域差があるのは仕方ないですね。
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