新雪キャッホー、富士山3個分 標高差 11,000 m の思い出 Whistler Mountain

スキー場 海外

2月も終わりに近づいていますが、ここにきて雪が降りだしましたね。
最後のまとまった雪かもしれません。

新雪が好きになったきっかけ

今でこそコブを滑っていますが、一番好きなのは新雪です。
誰も滑っていないメンツルの斜面、見ただけでワクワクしてきます。

しかし、スキーを始めて10年ぐらいは、新雪もコブも大嫌いでした。
当時はカービングスキーの出現前、今でいう えんぴつ板(190cmを超える真っすぐで細い板)で滑っていましたが、ソールの面積が小さいので浮力がなく、未熟な私の技術では新雪など手も足も出ませんでした。

新雪が好きになったのは、30年近く前、カナダに住んでいた時でした。
ウィスラースキー場の麓、ウイスラービィレッジに住んでいたのですが、地元の人は意外とスキーをしなんです。(スノーボードが流行りだす前の話です。)
日本ではウイスラーと呼ばれていますが、ゲレンデはウイスラーとブラックコムという谷を挟んで向かいあう二つの山の斜面にあり、おのおの100近いコースがある広大なスキー場で、普段はほとんどリフト待ちがありません。
それが、新雪が降ると状況が一変し、運行開始時間前からリフト前に長蛇の列が現れます。
しかし、新雪後はアバランチコントロール(人工雪崩の発生)のためオープン時間が1、2時間遅くなります。
それでもリフトの運行開始を待っている間、みんなの顔からは笑顔がこぼれています。
そして、リフトが動き出すと大歓声です。
地元の方々は声は大きいので、ほんとうにすごい歓声でした。
ベースから新雪のあるエリアへはゴンドラ・リフトを乗り継いで早い人でも30分以上、後ろの方に並んでいると1時間以上はかかります。
最後のリフトを降り、尾根沿いのコースを滑り、ノートラックの新雪を見つけて次々にドロップしていく、そんな光景を間近に見ていると、新雪は楽しいと勘違いしちゃいますよね(笑)
そんなこんなで、何度も新雪に埋もれながらアタックを繰り返すうちに、いつしか新雪が大好きになっていました。

標高差 11,000 m

ウイスラーではスキーガイドをしていたので、ほぼ毎日滑っていました。
ゲレンデをガイドをしながら流して滑っても、日本では信じられないような距離を滑っています。
お客様は、1週間だけのオフなので頑張って滑られますが、ガイドはず~と滑っているので、休日にフリーで滑ることはせず、しっかりと休息をとります。

しかし、新雪が降ると状況が一変です。
みんなが待ち望んでいた大量降雪後、パウダースノーエリアがオープンする時は朝から祝砲が鳴り響きます。
祝砲とは、アバランチコントロールで使用する本物の大砲のことで、ゲレンデに向けて打ち込み、人工的に雪崩を誘発し安全を確保します。
新雪が大嫌いだった私も、いつしかパウダージャンキーに成り下がってしまい、大砲の音に釣られて山に登るようになりました。
普段はそこまで滑ることはないのですが、このときばかりは狂ったように滑りまくります。
毎日滑走標高差を記録していて、1日の最高滑走標高差は富士山3個分にあたる約11,000 m、もちろんそれは1日中パウダーを滑りまくった時です。
富士山3個分のパウダーですよ、ほんとうに幸せでした。

向かい見えるWhistler Mountainの森林限界の上の白い部分が、最高のパウダーエリアです。

“Whistler Mountain from Seventh Heaven” by Ruth and Dave is licensed under CC BY 2.0

最後に

あの頃は若かった。
今は、目の前にパウダーがあっても体力が持たず、そんなに滑れないでしょうね。
しかし、短い距離なら若いもんに負けませんよ(笑)

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