10年間で20億円の補助! 公設民営化を目指すブランシュたかやまスキーリゾート

スキー場 国内

長野県長和町が発行する「広報ながわ7月号」で、新型コロナウイルスの影響でスキー場の売り込みが想定以上に落ち込み、2021年6月を目指していたブランシュたかやまスキーリゾート運営会社の設立を、令和3年度内をめどに変更することを発表しました。

(追記)2022年4月1日、旧株式会社長和町振興公社が運営してきたスキー場、宿泊施設、体験館、キャンプ場を株式会社マウント長和が引き継ぎました。
詳細については、分かり次第追記します。

ブランシュたかやまスキーリゾートの運営会社

現在、ブランシュたかやまスキーリゾートは、長和町が98%出資する第三セクターの株式会社長和町振興公社が運営し、実質的に町営スキー場です。

しかし、経営状況は厳しく、いろいろな名目で町から多額の補助が出ています。

今後10年間で約20億円の補助が計画されています。

  • 修繕建設改良費:約  1億5300万円(10年間)
  • 建設改良費  :約14億4600万円(10年間)
  • 指定管理料  :   4億円(4000万円x10年)

(注)指定管理料は2020/21シーズンと同額が10年間続くと仮定

この費用を少しでも圧縮するために、運営委託(指定管理者)を行う新会社を設立することを計画しています。

新会社(資本金4000万円)の出資比率(案)です。

  • 長和町  :20%以内
  • 町内事業所:60%程度
  • 町外資本 :20%
利用者数と売上

2020/2021シーズンは新型コロナウイルスの影響で利用者数と売上が激減したので、例年に近い2019/2020年シーズンの状況を見てみます。

推計で、利用者数約84,000人、売上約2億4000万円でした。

3月のデータは、1月と同額として計算しましたが、平均的なスキー場の傾向を鑑みるともっと少ない可能性の方が高いと思います。

売上2億4000万円に対して、町の補助が年間2億円。

リフト等の施設は、一度投資すれば20~30年間利用できるとしても、考えさせられる額です。

ブランシュたかやま と周辺のスキー場

長野県茅野市と立科町の境にたたずむ白樺湖周辺には10か所のスキー場が密集しています。

首都圏から見た場合、ブランシュたかやま は最遠部に位置していてます。

他のスキー場は、中央道諏訪ICを降り茅野市街を通り抜けビーナスラインでアクセスしますが、ブランシュたかやま は諏訪湖を通り過ぎ長野自動車道に入り岡谷ICより国道142号経由で向かいます。

  • 茅野市 ピラタス蓼科スノーリゾート
  • 茅野市 蓼科東急スキー場
  • 茅野市 白樺湖ロイヤルヒル
  • 茅野市 車山高原SKYPARKスキー場
  • 諏訪市 ファミリーゲレンデ霧ヶ峰スキー場
  • 立科町 白樺リゾート 池の平スノーパーク
  • 立科町 しらかば2in1スキー場
  • 立科町 白樺高原国際スキー場
  • 長和町 Blue Resort エコーバレー
  • 長和町 ブランシュたかやまスキーリゾート

公式な発表がないため正確な数字は分かりませんが、平年並みの降雪があった2018/19シーズンの利用者数は、全スキー場合計で50~60万人ぐらいと思われます。(筆者推計)

この中で、ブランシュたかやま より利用者数が確実に多いスキー場は車山の約10万人のみです。

また、自治体が運営しているスキー場は、白樺高原国際、しらかば2in1、霧ヶ峰そしてブランシュたかやま の4か所です。

Blue Resort エコーバレー

昨年11月、エコーバレーは2020/21シーズンの営業か営業中止かで揺れ動いていました。

「ながわまちの議会だより」に、長和町から周辺の宿泊施設の経営者のために、営業を行ってほしいとの要請をした、と書いてありました。

最終的には営業中止の判断を下したわけですが、町からの要請が、態度を2転、3転させて一因であることは間違いないでしょう。

エコバレーは民営のスキー場なので、赤字を出しても補填してくれるところはありません。

同規模で隣接するブランシュたかやま の運営に指定管理料だけで年間4000万円の補助が必要な状況で、エコーバレーが黒字になるとはとても思えず、民間企業として営業中止の判断は当然のことのように思えます。

最後に

スキー人口が急激に増えるとは考えにくい状況の中、利用者を増やす、イコール周辺のスキー場の利用者が減るという図式になる可能性があります。

民営のスキー場は、赤字になっても自治体からその額を補填されることはありません。

もしかしたら、10年後には周辺のスキー場が廃業し、ブランシュたかやま と公営のスキー場だけが繁盛しているかもしれません。

 

先日、Mt.乗鞍スノーリゾートの売却検討がニュースにとなったことは記憶に新しいと思います。

同じBlue Resortが経営するエコーバレーでも、同様な検討が行われていると考える方が自然です。

スキー場の淘汰が行われている中、営業努力ではなく、補助金が生殺与奪の権利を握っていると考えると複雑な心境です。

 

【考察】Mt.乗鞍スノーリゾートの売却検討について はこちら

コメント

  1. 行った事がありませんがここもお金がかかりそうな構造ですね。
    駐車場が分かれているのは駐車台数確保と土地の問題でしかたないかも知れませんが。
    朝は最下部のペアリフトが混むのかな?
    一番輸送力がある4人乗りの高速リフトが、スキー場の最上部に達していないんですね。
    それにしてもリフトを見直したらどうだろう?
    あまり人気の無いリフトもありそうだけど。
    利用者さんには申し訳ないかもですが。。。
    降雪機も維持しないといけないから尚更だと思うのですが。。。

    ここスノーボード禁止なんですね。
    私が、ここの町民で、スノーボード派だったなら激怒ですね。
    「スノーボードOKのあのスキー場が潰れてしまったじゃねぇか、気に入ってたのに。不平等なお金の使い方するな!」って思っちゃうかな?

    私はスキーヤーですが、これだけの補助を自治体から受けているのにスノーボード禁止はある意味衝撃でした。

    • 古くなると、スキー場はどんどんお金がかかります。
      他のスキー場も似たような状況だと思うのですが、どうするんでしょうか。
      スキー専用は差別化のひとつでしょうね。車で30分以内にいくらでもスノーボードができるスキー場があるので。

    • スキーヤー専用とすることで他のスキー場と差別化を図る戦略かと思います。1度行きましたが、年齢層がかなり高め、ただし、子供連れは多い(初めてスキーをやる子供には向いている)。でも、近くの白樺高原、富士見高原もスキーヤー専用なのですね。中央道はスキーヤー重視なのかな?