【考察】スノーヴァ羽島の廃止理由

スキー場 国内

スノーヴァ羽島の2021年11月30日での廃止が発表され、1998年12月オープンから23年でその歴史に幕を閉じようとしています。

スノーヴァの歴史を振り返りながら、廃止理由を考察してみたいと思います。

スノーヴァとは

スノーヴァとは、吸水性​ポリマーを用いた人工雪の通年型屋内スキー場で、(株)スノーヴァ(現GNU(株))が設計・ 施工・運営を行っていました。

人工雪として利用される吸水性ポリマーは大阪有機化学工業製で、(株)スノーヴァの独占販売契約でした。(現時点での契約は不明です。)

最盛期には全国9か所で営業を行っており、海外法人としてSNOVA(HONG KONG)を香港に立ち上げました。

しかし、2000年のスノーヴァ足利の開業が最後で、海外でスノーヴァが建設されることはなかったようです。

2005年3月には直営のスノーヴァ香椎が廃止され、スノーヴァの事業からほぼ撤退しました。

現在営業しているのは、廃止を発表したスノーヴァ羽島とスノーヴァ新横浜の2か所のフランチャイズです。

名称 所在地 開業 廃止
スノーヴァダイゴ
ボーダーズアリーナ
京都市伏見区 1995年12月 2005年4月
スノーヴァ神戸
(スノーパーク神戸)
兵庫県神戸市 1997年07月 2005年11月
スノーヴァ広島 広島県広島市 1997年10月 2006年8月
スノーヴァ東京
(スノーヴァ板橋)
東京都板橋区 1998年11月 2001年12月
スノーヴァ羽島 岐阜県羽島市 1998年12月 2021年11月
(予定)
スノーヴァ香椎 福岡県福岡市 1999年10月 2005年3月
スノーヴァ新横浜 神奈川県横浜市 1999年11月  
スノーヴァ溝の口-R246 神奈川県川崎市 1999年11月 2020年3月
スノーヴァ足利 栃木県足利市 2000年10月 2002年6月

開発元

開発元の旧(株)スノーヴァは1998年4月1日に、(株)エスエヌヴィに買収され消滅し、エスエヌヴィが会社名を(株)スノーヴァに変更し、再スタートをしました。

2000年には東証マザーズに上場し、更なる拡大を目指しましたが、同年のスノーヴァ足利が最後の開業になってしまいました。

その後、紆余曲折があり、現在はGNU(株)となっていますが、同社のHPのどこにも「スノーバヴァ」の文字を探すことができませんでした。

GNU(株)の変遷

  • 2011年1月~   GNU(株)(社名変更)
  • 2010年8月11日  上場廃止
  • 2002年8月~  (株)アドバックス(社名変更)
  • 2000年3月23日  東証マザーズに上場
  • 1998年4月1日~  (株)スノーヴァ(社名変更)
            (株)エスエヌヴィが旧(株)スノーヴァを吸収合併
  • 1998年1月~   (株)エスエヌヴィ(社名変更)
  • 1976年12月~    東陽産業(株)

スノーヴァ羽島

スノーヴァ羽島は、ボウリング場、フットサル施設と共に岐阜羽島コスモスポーツプラザ内で、丸栄ホールディングス(株)傘下の丸栄コンクリート工業(株)が運営しています。

官報によると、丸栄コンクリート工業の2020年3月31日末日の決算は赤字ですが、十分な内部留保があるようです。

仮に、スノーヴァ羽島が赤字だったとしても、経営が傾くことはなさそうです。

2020年3月31日期

  • 売上高  :286億1200万円
  • 純利益  :▲2億5100万円
  • 利益剰余金:249億3500万円

廃止原因の考察

施設利用料

土地ですがスノーヴァ羽島は、丸栄コンクリート工業と同じ敷地内にあります。

同社の社歴、経営状況等から考えると、社有地である可能性が大変高いと考えられます。

建物につては、スノーヴァの展開方法から考えて、同社所有と考えられます。

よって、土地・建物を利用することによる使用料は発生しません。

営業利益(損失)

資料がないので営業利益(損失)については全く想像ができませんが、会社の経営体力から考えて、少々の赤字であれば耐えれないことは無いと思います。

建物・設備の耐用年数

建物は鉄筋コンクリートと考えられるので、耐用年数は30年~40年ぐらいでしょうか。

スノーヴァ羽島は築23年なので、まだ建て替える必要はありません。

問題は冷却設備で、廃止されたスノーヴァ溝の口-R246や、営業中のスノーヴァ新横浜で、たびたび夏場の融雪が話題にのぼっていました。

出所は不明ですが、建物の建設費は5億円程度だそうです。

冷却設備は大きな部分を占めると考えられるので、億円の単位が必要だと思われます。

考察

たとえ現時点の売り上げが黒字だとしても、億円単位の投資を回収することは容易ではありません。

全てが想像なので真実は違うところにある可能性はありますが、私は冷却設備の交換の必要性がでてきたことが廃止の主な原因と考えます。

また、夏の競合として、「キングス」や「クエスト」のようなエアマットを利用した練習施設が増えてきており、今後の利用者増が望めないと考えた可能性もあります。

最後に

残るはスノーヴァ新横浜だけとなりましたが、こちらも厳し状況にあるようです。

「もともと、昨年にユニットクーラー装置全体を新品に交換することを検討しましたが、クレーンを使っての機材搬入取付、道路閉鎖 等々でかかる総額費用があまりにも高額となることで、断念してしまいました。
そして今年の5月から故障が頻発して、基盤交換、心臓部であるコンプレサー交換、、、、
弊社としても躊躇しないで全力で修理の推進はしておりますが、20年前のクーラーの部品の調達や工事人員確保等の問題で長引いていおります。」
スノーヴァ新横浜 2019年7月29日ブログより引用

また、昨年から高温によりキッカーを維持できない期間があると明言しています。

スノーヴァ羽島の1年後、スノーヴァ溝の口-R246と同時期に開業したスノーヴァ新横浜、何があっても悔いが残らないように、思い出がある方はしっかりと今を楽しんでください。

 

2021/2022 閉鎖する(かもしれない)スキー場 はこちら

コメント

  1.  11月末で閉鎖と聞き、本当に久しぶりに行きました。近いのでいつでも行けるのですが、ほとんどがボーダー、ジャンプ台に各種JIBとただ滑るだけのスキーヤーでは肩身が狭いですが、相変わらずのマナーの良さ。まあ短いけど何とかなるで3時間楽しんできました。建物、特に天井の板が一部隙間が空いて断熱材がみえています。確かに空調設備も古そう。やはり施設として寿命が来ているように感じます。断熱のことを仕事にしてますが、最近の高性能断熱材や施工技術の向上。太陽光パネルも大幅にコストダウンされており、また空調も最新型の省エネも進んでいます。今の技術なら光熱費を相当抑えられるのではと思いますが、ずっと赤字経営と聞いていますので、リフォームは無理でしょうね。残念ですが諦めるしかないでしょう。もう一度くらい行ってみようかな。

    • 鷹さん、コメントありがとうございます。
      断熱関係のプロが見られても、施設のリフォームは厳しそうなのですね。
      海外では屋内スキー場の建設ブームで、そのような施設には熱効率が良く費用を抑えられる最新の技術が用いられているのでしょうね。
      残りわずかですが、ぜひ、もう一度訪れて、楽しんできてください。