2022年9月、総務省統計局が5年ごとに行っている社会生活基本調査の令和3年調査結果が発表されました。
同社調査には「男女,ふだんの健康状態,頻度,年齢,スポーツの種類別行動者数(10歳以上)-全国」があり、性別、年齢(5歳階級)別のスキー・スノーボードの行動者数(以下、人口)の推定値が分かります。
このデータを用いて、将来のスキー・スノーボード人口を推定しようと考えたのですが、コロナ下で行動者数が前回調査から40%も減少していました。
この特異なデータを利用すると将来を正しく推定することができないので、令和3年の年齢階層別推定人口に、前回の平成28年度社会生活基本調査のスキー・スノーボード実施率と令和3年(2021年)の人口より、コロナが無かった場合の2021年スキー・スノーボード人口を求めました。
そして、20年後の2041年のスキー・スノーボード人口の推定を行いました。
2021年のスキー・スノーボード人口
2021年の男女別、年代(5歳階級)別のスキー・スノーボード人口です。
年代別の実施者の増減を考察しました。
これは、統計局の見解ではなく、私の意見であることにご留意ください。
10~14歳:雪国の体育の授業、家族旅行で実施
15~19歳:高校・大学受験勉強で、実施者数が急減
20~24歳:大学生になり実施者数が急増
男女共に最も多い実施者数です
25~29歳:社会人になり男性の実施者数が激減
女性はほぼ継続
30~34歳:結婚・出産、特に女性の実施者数が急減
35~39歳:家族旅行で、特に女性の実施者数が急増
40~44歳:ほぼ横ばい
45~49歳:2回目のピーク
50歳以上 :年齢とともに実施者数が減少
また、スポーツ全般に言えることですが、男性の方が女性より実施者数が多いです。
出典: 総務省統計局 令和3年社会生活基本調査を元にグラフを作成
2041年のスキー・スノーボード人口
年代別の実施率は変わらないものとして、20年後の年代別人口に実施率をかけて実施者数を推計しました。
また、データの無い2041年の10~14歳と15歳~19歳の人口は、20~24歳の人口と同じと仮定しました。
若い年代の人口が減少しているので、実施者数は減少しています。
他の要因が変わらないとすると、スキー・スノーボード人口は2021年の590万人から2041年の
467万人に21%減少することになります。
出典: 総務省統計局 令和3年社会生活基本調査を元に推計
・死亡者は考慮しない
・2041年「10~14歳」、「15~19歳」の人口は、2021年「0~5歳」人口と同数と仮定
スキー・スノーボード人口を増やすためのアイディア
実施者の減少を食い止めるためにはどのようなことをしたらよいか、いくつかアイディアを考えてみました。
スポーツなので年齢とともに実施者数が減少することは、いたしかたありません。
そうすると、若年層にどれだけ実施してもらうかが重要になってきます。
若年層で実施者が多いふたつの年代で、より多くの人に実施してもらうことが、これからのスキー・スノーボード人口の維持・増加につながると考えらえます。
小・中学生の実施者数の増加策
以前のブログに書いたように、実施者の大半は雪無し県の方です。
すなわち、家族旅行でスキー場に向かう子供たちです。
そうだとすると、両親が子供を連れてスキーに行きたいと思う必要があります。
しかし、スキーデビューはお金がかかります。
そこで、スキー場に
・小学生のリフト券無料、レンタル無料
を提案します。
このことにより、両親の負担が子供1人/日 5000~8000円は減ります。
子供からお金をとらなくても、両親はリフト券を買い、またレストランで食事もとるので、スキー場は赤字になることはないと思います。
将来の投資として、持ち出し(費用)が発生しない、たいへん効果の高い施策だと思います。
しかし、実際は一部のスキー場を除いて、小学生から、中には3歳からリフトが有料のスキー場もあります。
私は2人の子供がいますが、経済的負担を少なくするために、小学生のリフトが無料のスキー場を選んで滑っていました。
2022/2023 小学生、若者のリフト券が無料・格安のスキー場 はこちら
大学生の実施者数の増加策
大学受験が終わり、重圧から解放され、自由な時間が増えます。
雪無し県で育った人にとって、学生で初めてスキー場に行く人も少なくありません。
しかし、大学生にとってスキー・スノーボードは、道具、リフト券、交通費、宿泊費と大変負担が多いスポーツです。
実施者を増やすためには、経済的負担を下げる施策が必要です。
全国160か所以上のスキー場で既に実施されている、リフト券無料の「雪マジ!19」、リフト券半額の「雪マジ!20」は本当に素晴らしい施策だと思います。
より実施の負担を下げるために、リフト券に加えてレンタル無料をぜひ検討してほしいです。
レンタルするのは始めの数回だけ、直ぐに自分の板がほしくなります。
この年齢で滑る楽しみを覚えると、スキー場にとって一生のお客様になります。
特に女性は、この年代で実施した人は、出産などの一次期間を除いて、40代後半まで継続して実施するというデータがでています。
いかに、スキー場に初めて行く障壁を下げるかが、スキー場業界の発展につながると思います。
最後に
状況が違うので比較しても仕方ありませんが、20年前、2001年のスキー・スノーボード人口は現在の倍、1200万人でした。
スキーバブルの余韻が残っている時代だったんですね。
話を戻しますが、今後のことを考えると、若い世代に体験していただく施策で、20年後のスキー・スノーボード人口を維持していくことが重要です。
短期的な利益にとらわれず、スキー場業界が一団となって、課題に対処する時期に来ていると思います。
コメント
所長さんの提案に賛成です。
小学生以下の負担減は、その両親が負担を懸念し、
行く事をやめてしまっている可能性もあります。
結果両親のリフト券代と飲食代ですら失ってしまっている
可能性もあります。
大学生も、レンタルから用具購入にうまく誘導できるよう
メーカーさんや小売業さん、もう少し頑張ってもらえないかなぁ。
いずれにしても、何度か来てもらって、ハマってもらうのが
なによりです。
もっと言うとスキーの場合はなんとか早くパラレルになってもらって
白い粉中毒になってくれれば。。。
来るなと言っても来ますよね。。。笑
一度遠ざかってしまうと、すべての用具をまとめて買い揃えないといけないので
一度にそこそこな出費です。
復帰のネックになっちゃうのかなぁ。