【考察】復活への道のり、北海道夕張市マウントレースイスキー場

スキー場 国内

2020年12月に破産した北海道のマウントレースイスキー場の営業再開の話が報じられるようになってきました。

同じ親会社のもとで、別の子会社を設立し運営を再開しようとするものです。

破産した会社の債権者への債務返済は行わず、新会社で営業再開を目指すという話で、モヤモヤしたものがあったので調べてみました。

発表されていないことも多く、想定で書いてあるところもあることを了承の上、お読みください。

(3000文字以上あるので、見出しをつけました。)

経緯

2017年4月

株式会社元大リアルエステート(呉之平社長)の子会社、元大夕張リゾート株式会社が夕張市が所有するマウントレースイスキー場やホテルマウントレースイ、ホテルシューパロなどの宿泊施設を約2億4000万円で取得。
また、加森観光から同施設を運営してた夕張リゾート株式会社を所得。

夕張リゾートの2017年3月期の売上は約12億円。

宿泊3施設の年間宿泊客は平均9~10万人、宿泊客に占めるインバウンドの割合は平均40%、スキー場の年間利用者は約5万人。

2019年3月

香港の投資ファンドGreat Trend(H. K.)Limited(ライ・ユン・ナン社長)が、元大夕張リゾートを約15億円で取得。

元大夕張リゾートを夕張リゾートホールディング株式会社に商号変更。

2019年3月期は売上約12億4700万円、経常損失約2億5000万円。

2020年12月

2020年シーズンのスキー営業の休止とホテルなどの休業を発表。

新型コロナウイルスの影響による利用客の減少により、スキー場等を運営する夕張リゾートが今後の事業継続は困難になったとして、12月24日付けで破産申し立て。

負債は、約4億6833万円。

夕張リゾートの2020年3月期の年売上高は前期比22%減の約9億6700万円で、約9000万円の赤字

2021年4月

GREAT TREND (H.K.) LIMITEDは、夕張リゾートオペレーション株式会社(資本金1円)を設立。

今シーズンの営業再開に向け準備開始。

参考資料
帝国データバンク 倒産・同行速報記事 夕張リゾート株式会社 はこちら
今川和哉ブログ 夕張リゾート破産申請について はこちら

債券について

企業再生には債権処理が必要なので、親会社の法律上の責任などを調べてみました。

親会社の責任

残念ながら、子会社の負債に対し、親会社は返済の義務はありません。

100%出資の子会社であっても、親会社とは別法人です。

債権者に対する配当には優先順位

破産した企業の資産は差し押さえが行われ、競売等により現金化され、債権者への支払いが行われますが、債権者に対する配当(弁済)には優先順位があります。

  1. 公租(国税・地方税)
  2. 公課(国民年金や国民健康の保険料など)
  3. 共益費用(施設の保存費用、競売費用、執行費用など)
  4. 雇用関係の請求権(給与など)
  5. 葬式費用の請求権
  6. 一般の破産債権
  7. 劣後的破産債権
  8. 約定劣後破産債権

報道では、30人の従業員の給与などは弁済できるとあったので、「4」までの費用は支払ったとものと思われます。

よって、残る債権者は一般的な取引先、すなわち融資先、取引業者とリフトのシーズン券の購入者になります。

考察

営業再開に向けて必要なものと、その課題を挙げてみました。

施設

スキー場は夕張リゾートホールディングが所有しており、同一グループ企業なので夕張リゾートオペレーションに貸し出すことに問題はないと思われます。

問題は索道(リフト)です。

写真等を見る限り、一部のリフトでは搬器がケーブルワイヤから外されることなく、吊るされた状態で放置されているように見えます。

ケーブルワイヤに張力がかかったままで1年を経過したことになり、安全点検時に問題が見つかる可能性があります。

また、索道を運行するには国土交通大臣の許可が必要なのですが、この時期から索道の整備を行い12月までに、運行許可が間に合うものなのでしょうか。

(ご存じの方がいれば、コメント欄で教えてください。)

設備

報道に、圧雪車などスキー場運営に必要な設備は買い戻すとありました。

まだ、破産管財人が所有しているのであれば、設備の買い戻しは可能と思われます。

ただ、放置されていた車両の整備を誰が行うかは問題です。

従業員

約30名の従業員は全員解雇されています。

ホテルの経営を行わず、スキー場のみの経営であれば、スキー場の規模から考えるとより少ない人数で営業できそうです。

給与は支払いされていたようなので、他の企業に再就職をしていなければ経験豊かな社員が戻ってきてもらえる可能性はあります。

失業期間中は、失業保険(90~330日)が支給されており、ちょうど良いタイミングかもしれません。

有期雇用(アルバイト)

スキー場の運営は、少人数の従業員と多くの有期雇用者で成り立っています。

その中でも最も重要な職種のひとつがリフト係で、リフトの整備も行う熟練工です。

多くのスキー場では、リフト係の方の老齢化が進み、また専業農家が減っている関係から新たな担い手がいなくなり、リフト係の確保に四苦八苦しています。

この状況の中、人員を確保することができるのでしょうか。

取引業者

企業が新たな会社と取引を行う場合には与信審査を行います。

営業がどんなに好条件の契約を持ってきても、財務部門の与信審査が通らなければ取引を行うことはできません。

これは、取引先の倒産により、売掛金の回収ができなくリスクを減らすことを目的としています。

どうしても購入したいものがある場合、現金を先払いすれば、よっぽどのことがない限り取引をしてもらえると思いますが、会社に体力(今回の場合は資本金)がいるので、現実的な方法ではありません。

利用者(スキー、スノーボード客)

大多数を占める、当日リフト券を購入していた利用者にとっては、営業再開は嬉しいニュースです。

スキー場としての魅力があれば、何の問題もなく再び訪れてくれることでしょう。

一方、昨シーズンのシーズン券(56,000円)を購入した、コアな利用者はどうでしょうか。

昨年のことは水に流し、新たにシーズン券や1日券を購入して滑るでしょうか。

ひとそれぞれの考えがあると思いますが、スキー場が再開されても素直に喜べないことは、容易に想像することができます。

新運営会社が、昨シーズンのシーズン券を今シーズンも有効にすれば、全ての問題は解決するのですが。

需要予測

公式に発表されたデータはありませんが、2016/2017シーズンの利用者数は約10万人と言われています。

また、ここ数年の利用者は年間5万人との報道もありました。

今シーズンは宿泊施設の営業を行わないので、さらに大きく落ち込むことが予想されます。

約200万人の人口をかかえる札幌市からは、より近いところに、より大きなスキー場があり、どのようにしてマウントレースイに日帰り客を呼び込めるか、アイディアが必要となります。

また、スキー場の運営は索道はトントン、レストランやレンタルで黒字を確保する構造になっています。

北海道という土地柄を考えても、日帰り客でレンタルの利用が多いとは考えにくく、リフト券以外の収入はランチのみとなりそうです。

正直、今シーズンの黒字化は大変難しいと思いますが、将来的に、香港・中国からの観光客の誘致を見据えて、投資の時期と腹はくくっていることでしょう。


夕張マウントレースイスキー場 CC 表示-継承 3.0

最後に

同じ親会社のもとで、過去の負債を放棄したままでの運営再開は心情的には納得できません。

しかし、状況を考えると他の会社が運営に手を挙げる可能性は低く、夕張市としてはどこの会社であろうと、運営を再開し、スキー場利用者の夕張市での消費と、雇用を創造できることを願っていると思われます。

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コメント

  1. 大作ですね!
    お疲れ様です。

    なんだかドロドロですねぇ。
    夕張市は財政も厳しく、少しでもお金になる施設は
    残って欲しいのでしょうけど。。。

    シーズン券などの前売り券も、
    準備資金調達でもあるでしょうから。。。

    そもそも何をするにも銀行なのが世の中なのに
    銀行が相手にしてくれるのかなぁ?

    • 私も気になったのですが、銀行との関係を伺い知ることができる情報を見つけることができませんでした。
      日本の銀行は堅いので、融資を受けていないのかもしれませんね。

      • 振込に引落とし、給与の支払いに
        なんでもかんでも銀行ですからねぇ。
        資本金が無いと言う事は手元?通帳?
        に現金が無い状態。
        かつ、負債を抱えていた?踏み倒した?
        そんな所と銀行が取引すらしてくれるのか?
        融資を受けていないとすると、
        親会社が立て替えるのかなぁ?
        わざと破産させた??

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