今年、人工造雪機を備えていないスキー場の多くは、オープン延期となってしまいました。
記録的な小雪だった一昨年よりも遅い雪の降り始めです。
ただ、今の時期とシーズンを通しての降雪量の相関関係はあまりないので(本当か?)、これからたくさん雪が降ることを信じましょう。
天然雪のスキー場
11月25日(木)、全国の先陣を切って長野県のエイブル白馬五竜がオープンしました。
例年であれば、北海道の大雪山黒岳スキー場か中山峠スキー場が日本一早く天然雪でオープンするスキー場です。
しかし、その2か所はまだオープンの目途が立っていません。
26日(金)には、北海道の札幌国際スキー場、山形県の天元台高原、長野県のHakuba47と白馬八方尾根スキー場が天然雪でオープンです。
西「低」東「高」
なんのことだか分かりますか?
気圧配置ではないですよ。
気象庁の1か月予報では、平年に比べて西に行くほど気温が低く、東(北)に行くほど気温が高い「確率が高い」、西「低」東「高」となっています。
関東、北信越あたりでは、平年並みの気温です。
このことが、長野県の一番西、北アルプス山麓の白馬方面のスキー場が天然雪でオープンできた理由です。
出典:気象庁 2021年11月25日発表 1か月予報
人工降雪機で雪を降らせるスキー場
ほぼ全ての11月にオープン予定スキー場は、予定通りオープンすることができませんでした。
26日にオープンできているのは、スキー場の中で最も標高の高い、長野県の横手山スキー場、そして標高で約150m下に位置し、ベースで標高1700mの熊の湯スキー場、福島県のグランデコスノーリゾートのみです。
他のスキー場は、もう数日から1週間程度、ゲレンデづくりに時間がかかりそうです。
人工降雪機の降雪能力は気温と大きく関係しています。
日本最大手の降雪機メーカー、樫山工業社製降雪機の能力をみてみましょう。
気温が氷点下なることはもちろんですが、マイナス5℃ぐらいまでは、温度により降雪能力が著しく変化します。
このことが、気温が数度違うだけでゲレンデ造りが遅れる要因です。
表:樫山工業 KB-300シリーズ 降雪性能(同社HPより)
気温(乾球/湿球) | -0.5/-1.5 | -1.0/-2 | -2.0/-3 | -3.0/-3.9 | -4.0/-4.8 | -5.0/-5.8 | -10.0/-10.5 |
降雪量(m³/h) | 5 | 11 | 17 | 23 | 29 | 35 | 36 |
使用水量(L/min) | 41 | 88 | 138 | 188 | 238 | 288 | 300 |
最後に
今後の予報も、平年に比べて北海道・東北は暖かく、関東・甲信越以西は寒くなっています。
しかし、北海道・東北はもともと気温の低い地域なので、少し気温が高いぐらいでは12月以降は雨ではなく雪になることでしょう。
一方、関東・甲信越以西は低い気温により、雪の範囲が広がり、例年よりシーズンが延びたり、ゲレンデコンディションが良い状態で滑れる可能性が高まります。
トータルでは良いシーズンになるような気がします。
各スキー場のオープン情報を毎日更新しています。
2021/2022 10月、11月にオープンするスキー場 はこちら
コメント
全国的にほどほどに冷えてほどほどに降るのがいいには違いないですが、全国を平均して平年並みなのならば、西日本は少しでも冷えて降ってくれないと心もとないですが、北日本は平年並みなら十分なので、この冬の長期予報はスキー業界的にはもってこいなのではないでしょうか。同様に、全期間平均が平年並みなら、12月と3月に多めに降ってほしいものです。
この時期の雪の降りだしがシーズン全体の降雪量と相関がなさそうというのは、経験則的にそのとおりだと思いますし、データを取って相関係数を算出してもそうなるのではないかと思います。初冠雪もそうですね。
個人的には、高い人口密度と長いリフト待ちの細いゲレンデに滑りに行く気にはなかなかなれず、そこそこ滑走エリアが広がって、オープンするスキー場が増えることで客が分散する12月中旬からが本番なので、11月のオープン状況はまだ他人事のように冷ややかに眺めている状況ですが、ここからは早めにドカ雪が2,3発くることを心待ちにすることになります。
白馬があの一発でオープンに持っていったのはちょっと驚きで、今週末の冷え込みが2発目になればそこでオープンかなと思っていました。今週末が2発目になれば八方では黒菱や兎平がオープンするでしょうし、来週末が3発目になればスカイラインやリーゼンスラロームまでオープンするかもしれません。
早期の「大部分滑走可」を期待しています。
人工降雪機の性能というのも興味深いです。
計算上は使用水量の約2倍の雪の体積なんですね。密度0.5。一般的に雨1㎜に対して雪1㎝などと言うので、天然雪の密度は0.1ということでしょうか。検索すると、一般的には0.05~0.1だけど、屋根の耐荷重計算には0.2を用いるというのもありました。
そこからすると人工降雪機の雪はやはりギュウギュウに詰まっていることになりますが、それにしても詰まりすぎのような…。
-0.5℃(この温度で雪にできるのもすごそうですが)が-1℃になるだけで降雪能力は倍以上、そこから2℃下がることでさらに倍以上で計4.6倍ですか。わずかな気温差で大違いですね。
湿度が高いと雪になりにくいんでしたっけ?表の気温は湿度80%弱くらいの設定ですが、これが一般的な条件なのかどうかが分かりません。
最新鋭機は高温域(-5℃以上?)の降雪能力が高いといったことも聞きますが、この樫山のはどのあたりの性能なのかも気になります。
人工降雪機は低温・少雪のヨーロッパでの需要が多く、ヨーロッパのメーカーが強いのは分かるのですが、高温域での降雪技術に関しては樫山に頑張ってほしいところです。(中国も低温で屋内スキー場だとICSになるから、日本でしか需要がないとなると技術開発投資も難しそうですが)
ozuriskiさん、コメントありがとうございます。
白馬がオープンしたのは驚きました。降雪機で頑張ってもなかなかだったのに、自然の威力は凄いですね。
まだ、気温の低い日が続きそうなので、全面滑走可の日も近いと思います。
人工降雪機、年々性能が上がっていると聞きます。
樫山工業に頑張ってもらい、日本の気象条件でもがんがん雪を降らせてほしいですね。