ウインターシーズンが近づき、スキー場でのアルバイトの募集が行われています。
少し前までは、スキー場のある地域での最低時給と同額か少し良い程度でした。
しかし、年々募集が難しくなってきたことに伴い、時給1,000円はあたりまえで、中には日本で最も最低時給の高い東京都をはるかに超える高条件もでてきました。
最低賃金時間額
まず初めに、世間相場を理解していただくために、各県の最低賃金時間額(時給)をご覧ください。
毎年10月に厚生労働省が都道府県別の最低賃金を定めます。
労働者を守るため定められた最低賃金であり、一般的にアルバイトの募集はこの額に近い額になります。
大都市圏にお住まいの方にとっては、時給1000円と聞いても驚かないと思いますが、ほとんどのスキー場のある県では時給900円でも全くおかしくありません。
中でも福島県や大分県は時給が低く、東京都との差は200円以上あります。
最低賃金時間額 | 2021年10月改定 | 2020年10月改定 |
北海道 | 889円 | 861円 |
福島 | 828円 | 800円 |
新潟 | 859円 | 831円 |
長野 | 877円 | 849円 |
大分県 | 822円 | 792円 |
東京(参考) | 1,041円 | 1,013円 |
愛知県(参考) | 955円 | 927円 |
大阪(参考) | 992円 | 964円 |
アルバイト情報
職種
スキー場には、券売・インフォメーション、レンタル、索道、圧雪車、造雪・降雪、シャトルバス運転手、スノーパークディガー、スキー・スノーボードスクール、パトロールなど、さまざま職種があります。
このほかにも、スキー場に隣接する宿泊施設などの募集もあります。
これらの職種、資格、経験年数などにより時給は変わってきます。
近年は、最低時給が1000円を超えるスキー場が増えてきました。
寮、宿泊施設
大規模なスキー場では、多くのスタッフを必要としてるため、寮などの宿泊施設を用意しているところがあります。
まず間違いなく相部屋で、ひと冬を同僚と一緒に過ごすことになります。
応募する前に下見をすることは難しいかもしれませんが、施設の充実度、食事などが、長く生活するうえで重要になってきます。
寮費・光熱費・WiFi無料、食事500円~/3食、リフト代無料のところが多いようです。
繁忙期
スキー場の繁忙期は、年末年始、1月から3月中旬までの土日祝日です。
特に2月の連休がそのシーズン一番の入込数になります。
3月に入ると土日でも目に見えて人が減ってきます。
春休みでもほとんど人は増えません。
よって、この繁忙期に働ける人が優先的に採用されます。
逆に、3月に入ってアルバイトをしたいという方は、ちょっと採用が厳しいです。
好待遇のスキー場
ここでいくつか、好待遇のスキー場をご紹介します。
猪苗代スキー場
キャッチコピーが「地域No.1時給! 1,270円~1,870円」
昨年度からスキー場の運営が株式会社DMCaizu代わった猪苗代スキー場。
昨年度は募集開始時期が遅かったので好条件をだいしていたのだと思っていましたが、今年も破格の条件を継続しています。
時給1,270円で1日8時間、月に22日働いたとすると、月収22万円を超えます。
驚きの好待遇です。
軽井沢プリンスホテルスキー場
どの職種も時給1,050円を超えていて、特に降雪・造雪担当者は時給1,300円以上です。
日本最大規模の造雪・降雪能力を誇る軽井沢プリンスホテルスキー場、働き甲斐がありそうです。
九重森林公園スキー場
出ました、日給16,500円!
こちらも、降雪作業担当者の給料です。
勤務時間は17:00 or 19:00から翌朝09:00(含む休憩時間6時間+待機時間)
大分県にある九重森林公園スキー場では、雪国に比べ気温が高いこともあり、毎日降雪を行えるわけではありません。
降雪作業ができず、待機だけで終わった場合でも時給1,000円はでるので安心です。
【考察】時給が高騰する理由
時給が高騰する理由を考察してみました。
物価上昇
最低時給が2年間で約50円上がっています。
当然、アルバイトの時給は、連動して上昇します。
専業農家が減少
スキー場がある地域は山深く農業を営む人が多く住んでいる地域です。
農閑期に収入がなく、都会に出稼ぎに出ていた方々がスキー場ができたことにより、冬でも自宅から通えるところで収入を得ることができるようになりました。
しかし、道路が整備されたこともあり、専業農家は減り、会社員との兼業農家の方が増えてきました。
ということは冬でも定職がある人が増え、スキー場で働ける地元の人が減ってきたことを意味します。
大学生のアルバイト
スキーブームの時代は、スキー場や周辺の宿でアルバイトをしたい人であふれていたので、人手に困ることはありませんでした。
しかし、ブームが去り、ウインタースポーツ人口が減り、スキー場以外の娯楽がない場所でアルバイトをするモチベーションがない学生が増えてきました。
また、集団行動・生活を好まない学生が増えてきているようで、大学でクラブ活動を行う人も減ってきていると聞いています。
意外と思われるかもしれませんが、バブル期の30年前に比べて、18~21歳の人口は約30%減少していますが、大学生の人数は逆に約30%増えています。
近年でも大学生はわずかながらですが増え続けていて、少子化が学生アルバイトの集まらない原因ではありません。
19歳になる人の人数は毎年減っているのに不思議ですね。
アルバイトの奪い合い
これらの理由によりスキー場でアルバイトをしたい人が減少しているにもかかわらず、スキー場の数はあまり減っていないので、人の奪い合いが起こっています。
結果として、スキー場が競ってアルバイト料を上げているのが現状です。
最後に
スキー場にとって、アルバイト料の高騰は、直接の減収要因になります。
それでなくても経営状況が厳しい中、新たな経営圧迫要因となりそうです。
好調なスキー場は問題ありませんが、経営が厳しいスキー場はアルバイトを確保できずに営業を行うことができなくなる時代がくるかもしれません。
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