2022/2023 過去最高の着用率に! スキー場でのヘルメット論争はもうすぐなくなる!?

スキー

スキー、スノーボード関連のSNSでは、定期的にヘルメット論争が行われています。
ヘルメット着用派は安全性に主眼を置き、非着用派は(たぶん)ファッション性を重要視していると思われます。
この論争は、両者の目的が違うので、どこまで行っても合意点を見つけることができません。
しかし、近い将来この論争も終わりを迎えるかもしれません。

 

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スキー場傷害報告書

同報告書は全国スキー安全対策協議会が約45か所のスキー場に対して行うアンケートで、毎年2月の傷害、ヘルメット着用率などに関するデータをまとめたものです。
調査を行っている、全国スキー安全対策協議会は、索道のあるスキー場運営会社のほとんどが所属する一般財団法人日本鋼索交通協会がサポートしており、信頼性の高いデータであると考えられます。

全国スキー安全対策協議会

「安全を確保することは、楽しいスキーを普及するのにもっとも大切なことです。全国スキー安全対策協議会は、スキーに関係のあるすべての団体が、一つのテーブルを囲んで、この大切な安全を高める方法を研究し、話しあうための会です。
全国統一標識・統一表示マークの制定、スキー場の行動規則の制定、スノースポーツ安全基準の制定、傷害実態の調査、ポスターの配布」HPより引用

 

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ヘルメット着用率

スキー場傷害報告書に過去10年間のスキーヤー・スノーボーダー別、受傷時のヘルメット着用率の推移のデータがあります。
ご覧の通り、両者とも着用率は年々伸びてきいましたが、2020/21シーズンにコロナが始まったことにより着用率が激減(理由は後述)、コロナが落ち着くと共に着用率も増加し、2022/23シーズンには過去最高のスキーヤー48.8%、スノーボーダー26.5%を記録しました。
特にスノーボーダーのヘルメット着用率が急伸しています。
スキー場傷害報告書によると、調査対象のスキー場合計でスキーヤーとスノーボーダーの比率はだいたい半々なので、トレンドからみると3、4シーズン後にはゲレンデにいる50%の人がヘルメットを着用していそうです。
1度ヘルメットを着用した人が帽子に戻る可能性は大変低く(注)、着用率は増え続けると思います。
欧米では、ヘルメットの着用率は80%といわれているそうです。(出典不明)


出典:全国スキー安全対策協議会 2022/2023シーズンスキー場傷害報告書

(注)個人的な感想ですが、私の知り合い50人以上の中で、ヘルメットから帽子に戻した人は1人もいません。(除く春スキー)

数字のマジック

着用率は下がることがなく右肩上がりだったのに、2020/2021シーズンのヘルメット着用率の激減しています。
着用率が下がるにしても、スノーボーダーだけが、大きく減少する理由が思いつきませんが、実際の減少者数をみると納得でした。
2021年2月の輸送人員は前年に比べて減少しており、減少分の輸送人員とヘルメット着用輸送人員数を算出し、ヘルメット着用率を算出したところ、スキーヤー62%、スノーボーダー59%とほぼ同じ割合でした。
すなわち、スキー場に足を運ばなかった60%前後の人がヘルメットを着用していたということで、スキーヤーとスノーボーダーに大きな違いはなかったということです。

(注)全体のヘルメット着用率を受傷者のヘルメット着用率と同等と仮定しています。

スキーヤー 2020年2月 2021年2月 減少数
輸送人員 1453万人 1009万人 444万人
 内ヘルメット着用 700万人 427万人 274万人
ヘルメット着用率 48% 42% 62%

 

スノーボーダー 2020年2月 2021年2月 減少数
輸送人員 1222万人 985万人 237万人
 内ヘルメット着用 298万人 158万人 141万人
ヘルメット着用率 24% 16% 59%

コロナ下で、スキー場に行かなかった人

では、スキー場に足を運ばなかった人はどのような人でしょうか。
ここで、もう一度輸送人員について考えてみたいと思います。
輸送人員は、スキー場の利用者数ではなく索道乗車回数で、初心者はあまりカウントに寄与しません。
すなわち、中上級者の動向が重要になってきます。
一方、着用率の高いのは、どのようなグループでしょうか。
ほぼ100%着用する競技やSAJ・SIAの行事参加者は、イベント自体がほとんどなくなったので激減しています。
そして、全体からしたら少数ですが、外国人観光客(欧米)が皆減したことも要因の一つです。
また、新型コロナウィルスで重篤化し易い、中高年の方が足を運ばなくなったことは、想像に難くありません。
これが、着用率が激減した理由と考えられます。
逆に言うと、ファッション性を重要視する若者は、慎重派に比べてスキー場に通ったということです。

  着用率:高 着用率:低
索道乗車数
:多
  • 慎重派
    (比較的年配者に多い)
  • 競技参加者
  • SAJ・SIAの行事参加者
  • 外国人観光客(欧米)
  • ファッション性重視派
    (比較的若者に多い)
索道乗車数
:小
 
  • 初心者
  • 修学旅行
  • 外国人観光客(アジア)

 

(参考)自転車事故と傷害

警察庁が発表している自転車事故に関するデータです。
自転車より高速で滑ることもあるスキー・スノーボード、頭を打ち付ける場所がアスファルトより柔らかい雪面とはいえ、頭への衝撃が大きいことに違いはありません。

「自転車乗用中の交通事故で亡くなられた方は、約6割が頭部に致命傷を負っています(図1参照)。
また、自転車乗用中の交通事故においてヘルメットを着用していなかった方の致死率(注)は、着用していた方に比べて平成29年から令和3年までの5年間の合計で約2.2倍高くなっています(図2参照)。
(注)「致死率」とは、死傷者数に占める死者数の割合をいう。

 

今後のヘルメット論争

日本人の国民性から、着用率が50%を超えると加速度的に着用者が増え、ヘルメット論争はあと数年でなくなる気がします。
スキーヤーのヘルメット着用率は2023/2024シーズンに50%を超えそうで、スノーボーダーの着用率も6、7シーズン後には50%を超えている可能性が高く、遅くともその時点で論争は終了です。
いずれにしても、過半数の人がヘルメットを着用するようになることは間違いなく、非着用だとはずかしい時代がくることでしょう。

私がスノーボードを始めた約30年前、ヘルメットをしている人は皆無で、逆エッジで何度も軽い鞭打ちになりました。
10数年前にヘルメットの着用を始め、スキーでの転倒時に何度も助けられたことがあるのでもう手放すことはできません。
多くの方にウインタースポーツを末永く楽しんでほしいので、万が一に備えてヘルメットを着用してほしいと思っています。

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